消費者庁・業界団体一体となって「おとり物件」対策に乗り出した

【実例】根強いおとり広告。物件見せない・住所教えない・他物件を紹介…

先日、憤慨されたご様子でミトミにご来店されたお客様がいらっしゃいました。

「なにあれ信じられない!内覧を予約してた不動産屋に行ったら、部屋を案内するどころか、他の物件を強引にすすめられたんですよ!」とおっしゃるのです。

angry_woman_s詳しく話を聴いてみると、気に入ったお部屋があったので事前に内見の予約をしてその不動産屋に行ったら以下のようなやり取りがあったようです。

お客様「予約していた〇〇です。あのお部屋をみせてください」

某不動産屋「ああ、実はこの物件、下の階に大家さんが住んでいるんですが、ものすごくうるさい方でみなさんすぐ引っ越されるんですよ。やめておいた方がいいですよ

お客様「でも今日そのために来ましたし、お部屋を見てみたいです」

某不動産屋「ちょっと上司に確認してきますね」

………(数分後)………

某不動産屋「うーん、やっぱりやめておいた方がいいです。やはりお客様に変な物件をご紹介できませんので…」

お客様「…」

某不動産屋「ところで弊社は他の不動産屋さんの物件でもご紹介できます。このデータベースにすべて入っておりましてこの物件はいかがでしょうか

お客様「わかりました。ご案内いただけないのであれば、住所(枝番)だけでも教えてください。広告に載っていたのは丁目まででしたので。ええと確かこのURLで…」

 

………(ブックマークしていたURLをクリック)………

 

お客様「あれ?今日の朝も思ったんですが、昨日まで表示してあった物件ページ消したんですか?とにかく住所教えていただけますか、外観だけでもみてみたいので」

某不動産屋「すみませんが個人情報ですので教えられません

お客様「もういいです!」

明らかなおとり広告です。あきれてしまいます。この物件を紹介していたURLも、このお客様が来店される当日には消されているなど、とても手口が慣れていると感じます。お客様のお怒りもごもっともです。

また、この某不動産屋が最後に言っていた「データベース」とは、REINSのことでなにも目新しいことはなく、どの不動産会社でも使っているものです。お客様の時間もとてももったいないですし、とても下劣なやり方です。

おとり広告かどうか見極める鉄則「内見をする」

実はこのお客様は、もともとミトミに賃貸物件の紹介依頼をいただいておりましたが、お客様ご自身でみつけられた非公開物件がこの問題のおとり広告でした。

独立洗面化粧台など設備や間取りがいいにもかかわらず、相場より10%以上安い賃料で広告に出されていたため、この物件だけはお客様ご自身でその不動産屋に行くようにお願いしていたものです。

bad-person_ssお客様が不動産屋に行く前に、注意するポイントや聞くべき質問項目をご説明していましたが、おとり広告の可能性がある旨も伝えいていました。おとり広告の場合、中に居住者がいるか、そもそも架空の物件である場合が多く、まずは現地確認することが鉄則です。

もしかしたら本当に老婆心でご紹介を見送ることも考えられるため、できるだけ内見をしたいとハッキリ伝え、所在地の確認をするようお伝えしました。しかし、結果としてこの業者にノラリクラリとかわされたようです。

今回のケースは、明らかにおとり広告であり、このような営業が依然まかり通っていることは本当に残念なことです。

おとり広告はお客様を集める虚偽広告。宅建業法などの法律に違反!

成約済みの物件や、今回の例のように架空のお部屋情報を掲載して集客するおとり物件。昔から指摘されている問題ですがいまだに根強く残っています。

問合せのあった物件は「先ほど申し込みが入りまして…。その代わりこの物件はいかがでしょうか」として、他の物件を提案するのです。これは、宅建業法や景品表示法、公正競争規約に違反します。

(誇大広告等の禁止)
宅建業法 第32条 宅地建物取引業者は、その業務に関して広告をするときは、当該広告に係る宅地又は建物の所在、規模、形質若しくは現在若しくは将来の利用の制限、環境若しくは交通その他の利便又は代金、借賃等の対価の額若しくはその支払方法若しくは代金若しくは交換差金に関する金銭の貸借のあつせんについて、著しく事実に相違する表示をし、又は実際のものよりも著しく優良であり、若しくは有利であると人を誤認させるような表示をしてはならない。

(不当な表示の禁止)
不当景品類及び不当表示防止法(景品表示法)第5条 事業者は、自己の供給する商品又は役務の取引について、次の各号のいずれかに該当する表示をしてはならない。

一  商品又は役務の品質、規格その他の内容について、一般消費者に対し、実際のものよりも著しく優良であると示し、又は事実に相違して当該事業者と同種若しくは類似の商品若しくは役務を供給している他の事業者に係るものよりも著しく優良であると示す表示であつて、不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると認められるもの

二  商品又は役務の価格その他の取引条件について、実際のもの又は当該事業者と同種若しくは類似の商品若しくは役務を供給している他の事業者に係るものよりも取引の相手方に著しく有利であると一般消費者に誤認される表示であつて、不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると認められるもの

三  前二号に掲げるもののほか、商品又は役務の取引に関する事項について一般消費者に誤認されるおそれがある表示であつて、不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると認めて内閣総理大臣が指定するもの

(おとり広告)
不動産の表示に関する公正競争規約 第21条 事業者は、次に掲げる広告表示をしてはならない。
(1)物件が存在しないため、実際には取引することができない物件に関する表示
(2)物件は存在するが、実際には取引の対象となり得ない物件に関する表示
(3)物件は存在するが、実際には取引する意思がない物件に関する表示

公正競争規約では、物件は実際に存在しても、そもそも取引する意思のない物件を表示することも禁じており、健全な表示に努めるよう促しています。

実際の取り締まり件数はわずか。消費者庁も取り締まり強化を要請

これらに該当すると罰金刑や悪質な場合は刑事罰もあります。しかし法律はあることと、取り締まりが適切に行われているかは別問題なのです。

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国会の特別委員会で不動産のおとり広告について厳しい追及

2016年3月23日に実施された消費者問題に関する特別委員会において、政府参考人として出席した菅久修一消費者庁審議官の発言からも、取り締まりがほとんど機能していない様子が伺えます。

2009年の消費者庁発足以降、消費者庁が不動産おとり広告に関しまして措置命令を行ったものというものはございません。

一方、消費者庁が不動産おとり広告に関しまして行政指導を行った件数といたしましては、2009年度に1件、2011年度に1件、2012年度に2件、それから2013年度に1件ということでございます。」

井坂信彦衆議院議員(民進党)より「消費者庁の存在意義」を問われもしました。

「私は、これがこんなに堂々と道端やあるいはネット上に横行して放置されているということは、これは余り続くと、最後、消費者庁というのは一体何なんだと。

こんなことも業界団体任せで、実効性のある取り締まり、しかも取り締まりの手段は、さっき申し上げたように、措置命令という、ほかのに比べたら簡単にできて、しかももう二度と再犯がされないであろう手段を持っているわけですから、やる方法もあって、しかもこれだけ横行していて、みんなももう知っていて半ば諦めている、不動産というのはそんなものだみたいに思っている人も多いと思いますよ。

私たちミトミも一不動産業者として、お客様からこのような姿で映っていることを真摯に受け止め、業界全体で取り組むべき由々しき自体であると考えております。

また、これらの事態を重くみた消費者庁は2016年4月、不動産の業界団体である不動産公正取引協議会連合会に対して、おとり広告の取り締まり強化を要請しています。

大手ポータルサイト事業者も積極対応。空室確認サービス「アキベヤ」も

公益社団法人首都圏不動産公正取引協議会のポータルサイト広告適正化部会では、大手ポータルサイト5社(CHINTAI、SUUMO、HOME’S、アットホーム、マイナビ賃貸)が不動産広告の適正化を図るべく、違反物件状況の共有や削除を実施しています。

2015年度(2015年4月1日~2016年3月31日)は、3,619物件の違反物(広告主事業者数883社)が共有され、ポータルサイトから速やかに削除されています。

断る・拒絶・NO_300また、空室状況を簡単に問い合わせられる「アキベヤ」(株式会社アパハウ)が2016年9月に開始されました。同社によると予想を上回るペースで会員登録がなされており、消費者の興味の強さがうかがいしれます。

おとり広告は、お客様への裏切り行為であり、またその不動産屋の評判を地に落とす行為でもあります。

今後、これら悪質な業者は自然と淘汰され、健全な不動産業界が創られていきおとり広告が死語となる時期が来ることを強く望みます。

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