なぜ銀行は赤字でも貸す?住宅ローン金利を下げてまで融資する3つの理由

赤字覚悟で金利を下げてまで住宅ローンを組む金融業界。その背景は?

変動金利であれば金利ゼロ%代が当たり前になるほど、住宅ローン金利は史上空前の低金利となっています。

銀行が住宅ローンを貸し付けることで儲かっているなら融資したがるのもわかりますが、赤字ギリギリ(または逆ザヤ)で貸し出しているところもあるくらいです(各金融機関により状況は異なります)。

地銀の再編が行われるなど金融業界も収益確保に必死になっているはずです。なぜそんなに儲からないのに、こぞって貸し出そうとするのでしょうか。

ここでは銀行側の3つの視点を捉え、住宅ローンは過当競争となりがちであることを理解しましょう。

①貸出先がなくおカネが余る銀行にとって、貸倒率が低い住宅融資は魅力

銀行は、おカネを貸し出す代わりに利息をもらうというビジネスを行っています。

おカネを貸し出さずに持っているだけでは、支払利息が増えるだけです。とにかく貸付残高を増やしたいのが銀行です。しかし同時に、リスクの高い貸し出しを極端に嫌うのも金融機関の大きな特徴です。

「貸したいけど安全なところに…」が本音であり、安全な借り手を金融機関同士が血眼になって借りてくれるよう営業をかけているのです。

その最たるものが住宅ローンです。家族の生活基盤となるマイホームは、どんなに家計が苦しくても最優先で返していくだろうと銀行は考えており、これほど安全な融資先は他にないと競って貸し付けようとしているのです。

実際に、返済が不能となった貸倒率(デフォルト率)は0.2%程度という統計もあり、通常の事業資金の1/10以下に抑えられているようです(10倍安全ということです)。

②銀行は「BIS規制」で融資枠が制限。その枠を緩和するのが住宅ローン

少し難しい話になりますが、銀行はおカネをいくらでも貸し出せるわけではありません。

新BIS規制というものが定められており、国際的な取引を行う銀行は、自己資本比率(=自己資本÷リスク資産)を8%以上にしなければなりません(国内銀行は4%以上)。

つまり、自己資本が8億円の銀行の場合、貸し出せる融資額(リスク資産)は100億円までということです。

例えば、銀行が8億円を持っており、お客さんから預金してもらった金額が142億円、合計150億円あるとします。銀行としては、150億円を貸して儲けたいのですが、BIS規制によって100億円までしか貸し出せず、50億円が余ってしまいます。

金融機関は余ったおカネに預金利息などを支払い続けなければなりません。どうにかできないでしょうか。そこで登場するのが住宅ローンなのです。

通常の法人融資ならリスクが100%、住宅ローンなら35%に!財務体質の改善にも

法人の事業融資(プロパー融資)として1億円貸し出せば、リスク資産として貸付残高が1億円増えます。しかし、住宅ローンであれば1億円貸しても3,500万円しかリスクを取っていないことにしてくれるのです。

なぜなら住宅ローンは貸倒率が極めて低いため、貸出額の「35%」しかリスク資産とみなされない取り決めがあるからです。BIS規制上、1億円貸しても(リスクウエイトを35%で計算してくれるため)3,500万円のリスク資産を持ったことにしかならないのです。

つまり、上であげた例では自己資金が8億円の国際銀行は100億円までの貸出枠でしたが、仮にすべて住宅ローンで貸し出すなら、単純計算で286億円(=100億円÷35%)まで貸せるのです。BIS規制上の融資枠に対して、法人融資の場合の約3倍のおカネを貸し出せるのです。

カネが余っている銀行にとって、(預金などの)調達資金をそのままにしておく(利息を支払い続ける)よりも、収益がほとんどなくとも住宅ローンで広く貸し出せれば少しでも有効活用できます。だから、金利を下げても貸したがるのです。

また、おカネが余っていなくとも、自己資本比率を改善させて財務体質を改善したければ、(事業融資ではなく)住宅ローンを組むというやり方もあるでしょう。いずれにせよ金融業界特有の事情で住宅ローンは使い勝手がいいのです。

③長い付き合いで新たな借り入れや資金運用が期待。資金調達コスト削減も

住宅ローンは、返済がかなり長く続くため、顧客(おカネの借り手)のライフステージに応じて教育資金や建て替え資金など新たな融資のチャンスが生まれます。

最初の入り口を住宅ローンとしておき、長く付き合う中でゆっくりと収益を上げようとするのですね。

さらに、住宅ローンを組んだ銀行口座は、通常その家族の家計を管理する口座になることが多いものです。給与振込口座としたり、退職時には退職金として大きなおカネを預金または運用してくれるかもしれません。

銀行にとって預金をしてくれることは資金調達コストを下げられるため、初めに赤字であっても長期的にみれば銀行に旨味があるのです。

それなら、初めの入り口で他行にお客さんを取られてはいけません。損して得取れといわんばかりに、過当競争ともいわれるくらい金利を引き下げてローンを組ませたがるのもわかりますね。

借り過ぎに注意!銀行が「貸せる額」と、あなたが「返せる額」は違う

カネ余りの銀行にとって、住宅ローンは安全(貸し倒れリスクが低く)、自己資本比率の規制も緩和され多くの金額を貸し付けられるという商品です。

当初赤字であっても、顧客との長い付き合いが保証されているともいえ、長い目でみれば預金による資金調達コストの削減や運用による手数料収入が期待されるなどとても魅力的な融資方法といえるのです。

そのため、優良顧客であればある程、多くのおカネを貸したがる動機(インセンティブ)が発生するといえます。

銀行はあなたの家計状況を詳しく把握しているわけではありません。借りられる額(借入可能額)ではなく、返せる額(返済可能額)を借りるという意識をしっかりもって、借りたはいいけど返せなくなった…ということのないように気を付けましょう。

そのためには、ファイナンシャルプランを立て、具体的な数字が書き込まれた返済計画をみながら、住宅購入後のイメージを膨らませることが大切です!

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