中古住宅の欠陥を見抜く裏技?瑕疵保険でお金も品質も安心、将来の売却も有利に

瑕疵保険は万が一の備え。制度ができた裏には消費者の泣き寝入りがあった

「一念発起して購入したマイホームが欠陥住宅だった…」こんな事態になっては安心して不動産取引ができません。

そこで、新築の場合には、引き渡しから10年間は売主の業者が責任を持って補修することが義務付けられています。それが瑕疵(かし)担保責任と呼ばれるものです。

そして、さらに業者は「瑕疵保険」に加入するか、おカネをあらかじめ供託します。もし売主(建築業者)が倒産してしまった場合にも、そこからお金が支払われるというダブルで安心な制度が整っているのです。

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新築住宅を建てた事業者が供託する(お金を預ける)か保険金で賄う(事業者が瑕疵保険に加入)するかの違いはありますが、いずれにしても、万が一のためにお金を用意しておく制度があります。

当たり前に感じられますが、実はこのような制度ができたキッカケになったのは大きな被害を被った消費者がいたからなのです。

ここでは、保険金で賄う制度である「瑕疵保険制度」がなぜ必要なのか、そして新築と中古の瑕疵保険の違いなどについてみていきましょう。

新築を建てた業者が瑕疵保険に加入する義務あり。倒産しても補償される

新築の瑕疵保険制度の発端は「2005年の耐震偽装問題」です。

当時、耐震性が偽装されたマンションを建設したディベロッパーは多額の建替え・補修費用が賄えず倒産しました。この事件の最大の被害者はマンションを購入した消費者です。

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もともと、躯体部分などに欠陥が生じれば、事業者が費用負担して修復する義務がありました(住宅の品質確保の促進等に関する法律(住宅品質確保法))。

しかし、事業者が倒産した場合にも消費者(買主)を保護する法律にはなっておらず、結局、月々支払う住宅ローンに加えてこれら費用を負担する羽目になってしまったのです。

新築購入者を手厚く保護。あらかじめ補修費用にかかるおカネを建築業者が用意

業者に支払い能力がある場合には有効ですが、もし倒産してしまったら意味を成さなかったのです。

つまり、この偽装問題で判明した課題は、事業者に修復するためのおカネがない場合には、結局はそのしわ寄せが消費者にいってしまうことでした。

そこで、住宅瑕疵担保履行法が定められ、あらかじめ保険金(保険法人)や保証金(供託)という2つの方法でおカネを確保しておく制度が作られました。

現在は、新築の場合であれば瑕疵担保に加入することに加えて、事業者が資力を確保すること(倒産時にも補修費用を用意すること)が義務として課されることになったのです。

倒産した場合にも消費者を保護する制度に強化されたもので、保険金で賄いたい業者が利用するのが「瑕疵保険制度」なのです。

中古は個人売主が多く瑕疵担保免責・保険未加入も。業者でも2年間の責任

以上のように、新築の場合には隠れた瑕疵(欠陥)がみつかれば売主が責任を負い、万が一に倒産した場合にも保険の加入義務があるため買主は保護されます。

そして、中古においても同様の瑕疵保険制度が作られ、業者が倒産しようと保険金が支払われることになりました。

ただし中古住宅の場合、(売主が業者・個人いずれの場合にも)瑕疵保険の加入は任意です。資力を確保(保険に加入)することは求められていないのです。

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つまり、もし保険に入っていなければ業者が倒産した場合、事実上の泣き寝入りなのです。自動的に保険に入ってくれるわけではありません。

中古の場合にはボロ物件を購入して買主自身で修繕するケースもあります。瑕疵(かし)を引き受ける代わりに安く買いたいという場合もあるのです。

その場合、(検査に通過する必要がある)瑕疵保険の加入を義務としてしまうと自由な取引の幅を狭めることにもつながるため、中古の場合は任意となっているという背景もあります。

個人が売主の場合、購入後は買主が全責任を負う「現況有姿売買」も少なくない

さらに売主が業者である新築住宅と異なり、中古住宅は売主が個人の売主が多く、(倒産や破産していないくても)瑕疵担保責任も免責となる売買もよくあります。

これは「現況有姿の引渡し」といって、そのままの姿で引渡し瑕疵(かし)が見つかっても買主自身で直さなければならないという、一方的な契約が一般的です。個人売主が免責されるのです。

売主が業者の場合には、瑕疵担保責任が義務付けられていますが、最低2年間でよいことになっています。

つまり瑕疵担保責任も放棄でき(または2年間しか責任を負わず)、保険もつけなくていいということです。中には、リスクを避けたい業者が個人名義に変更して売買するという悪質な取引もあるようです。

このように、中古住宅を購入する時には、何かが起こってもすべて買主の責任となるというケースがあることを理解しておきましょう。

だから瑕疵保険で補修費用のリスクをカバーしたい。品質の判別もできる

新築のみならず中古でも「既存住宅売買瑕疵保険」と呼ばれる瑕疵保険がありますが、その加入は任意であることを説明しました。

この瑕疵保険の対象は「構造耐力上主要な部分(柱や基礎など)」と「雨水の浸入を防止する部分」に関する部分で、期間が1~5年と新築の場合に比べ半分です。

新築とは異なり、中古住宅という劣化した住宅をそこから保証するものですので、期間が短くなることは仕方ありません。

確かに「だったら保険に加入しなくてもいいかな…」と思われるかもしれませんが、個人売主で瑕疵担保も免責、保険もないとなれば後から大きな出費が生まれるかもしれません。

特に新築では不具合があっても部材が新しく、数年は持ちこたえることがありますが中古は不具合があるなら数年で分かります。そういう意味では保険期間が最長5年というのもうなずけます。

建物が建った後には直接目に見えない建物の欠陥が潜んでいる可能性があります。中古住宅版の瑕疵保険もマイホーム購入時に検討してみることをお勧めします。

特に不安が強い中古物件。瑕疵保険の検査が通れば、一定の品質があることの目安に

実は中古物件の場合は、瑕疵保険が付帯“できている”こと自体に意味があるという側面もあるのです。

瑕疵保険は、加入前に保険法人の専門的な「検査」にパスしなければ入れません。「インスペクション」と呼ばれ、建物のプロである建築士が建物の状況を非破壊検査でチェックするのです。

もし検査して不具合が見つかった場合には、その不具合を補修しなければ瑕疵保険に加入できません。

新築の場合も検査があることは同じですが、特に中古物件は不安がつきものです。瑕疵保険に加入できた時点で、一定の品質は認められたという安心感があるといえます。

既存住宅売買瑕疵保険への加入を拒む売主は要注意。物件に欠陥がある?

資力の確保(保険加入)が義務か任意かということよりも、既存住宅売買瑕疵保険というツールをうまく活用したいですね。

日本の中古住宅は、ボロ物件だろうとピカピカ物件であろうと、現状では築年数で評価のほとんどがなされてしまう慣習があります。

買主からすれば、中古住宅の品質が極めて分かりづらいのです。特に築年数が古いなど、不安が残る場合には要注意です。

それならば、売主に「既存住宅売買瑕疵保険を付けてくれ」と打診するよう仲介業者にお願いしましょう。原則として売主が加入するものですが「買主が保険料を負担する」といえば売主が加入することを許可するでしょう。

それでも頑なに売主が保険加入に応じなければ、欠陥があって検査に合格できないことを知っている可能性もあります。その住宅の品質を疑った方がよいかもしれません。

中古住宅を見抜く2つのツール!インスペクションと既存住宅売買瑕疵保険とは?

ますます住宅性能が求められる時代。「安心R住宅」を使った売却は保険加入が必須

逆に、瑕疵保険に加入してもらえる住宅は、少なくとも住宅の主要な部分については、一定程度の水準が保たれていることが期待できます。

今後、ますます中古住宅が主流となっていなく中、保険の付保が義務であろうとなかろうと住宅性能を担保する仕組みを能動的に利用していくことでしょう。

その一つとして、国が一定の要件を満たす中古住宅を「安心R住宅」としてお墨付きを与える制度が2018年4月から始まっています。

この要件の中にも既存住宅売買瑕疵保険に加入できることが挙げられています。将来、自宅を売却する時に瑕疵保険に入っていないと、買主から相手にされず売れない可能性も高まります。

マイホームは買った後から始まるお暮らしこそ大切です。「こんなはずではなかった…」とならないよう、中古住宅の安心安全な制度を積極的に利用していきましょう!

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