「鍵を回せば2割価値が下がる」新築。マンション販売の利益構造を知る

新築マンションは「鍵を回せば2割価値が下がる」といわれます。

マンションを新築するには、まずディベロッパー(企画開発業者)といわれる不動産会社が、土地を仕入れたり、商品企画をしたり、販売計画を立てたりします。

それを、建物を建てるゼネコン(総合建設会社)に発注します。その下に数百社にも連なる下請け・孫請け会社が一次下請け・二次下請け…と多くの企業が関連して一つのマンションができあがるのです。

ここでは、例として都心の新築マンション(40戸、5,000万円/戸)販売の実態をみることで、新築マンションはどこにおカネがかかっているのかをみていきましょう。

業者の利益と販売促進・広告宣伝費分が上乗せ。中古は割安に買える

6億円の土地情報を仕入れたディベロッパーの担当者は、その土地にどれくらいの規模のマンションが建てられるか(建築基準法などの制約を受けます)、何戸作れて平均どれくらいで売れるのかを計算します。総売上高を試算するのですね。

「40戸作れて、一戸当たり平均5,000万円/戸で売れる見通しだから20億円の売り上げがあがる事業だ」とわかったら、次は自社にどれくらいの粗利(利益)が生まれるかを計算します。

そのために経費を計算します。土地代金に6億円(30%)、建設費用で10億円(50%)、広告宣伝費・販売促進費などその他経費(人件費、モデルルームの設置費用や、華美なパンフレット・折り込み広告、専用ホームページ、金利支払いなど)に2億円(10%)程度かかります。

そうすると自社が「2億円(10%)」(=売上高20億円-経費18億円)の利益を取れることになり、これでOKと判断すれば事業を進めます。土地を契約・決済し、着工に進みむのです。

つまり、広告宣伝費などで10%、自社利益で10%の合計「20%程度」が土地・建物代金に上乗せされるのです(%割合は、業者や状況に応じて変わります)。新築の場合には、少なくない経費・利益が上乗せされる構造があるのです。

中古マンションの売主の多くは個人。広告宣伝費も利益も必要なく合理的な価格に

中古マンションであれば、所有者(売主)の多くは個人であり、広告宣伝費や利益を求めることはありません。

需給バランスや建物の状況などに応じた合理的な価格決定がなされます。

投資家目線でいえば、将来の売却時に手残りキャッシュを多くするためにも、安値で仕入れられる中古住宅は魅力的といえます。

もちろん、新築マンションが悪いわけではありませんが、新築の場合には麻布や青山など都心の超好立地物件に絞るなど、より詳細な検討をして購入したいものです。

「青田売り」で完売したい。個別に値下げしてマンション全体で収益を取る

新築マンションの場合には、営利企業であるディベロッパーが販売するため利益が乗るのは仕方のないことです。業者や新築が悪いわけではなく、その構造を知ることで、販売担当者の売り込みがなぜ起こるのかなどの考え方を理解し、納得の上で契約しましょう。

まず、ディベロッパーの利益率は約10%といわれます。逆にいえば、一棟マンション全体で90%の資金が回収できればとりあえず支払いに困ることはないということです。その黒字ラインを早期に獲得すべく契約を急ぎます。

ですので、新築分譲マンション販売では、1室を目玉商品として大幅値下げしてお客さんの目を引いたり、売れ残りそうな部屋があれば▲10%値引き!などとして、一棟全体で90%の水準を確保できればよいという考えで販売します。

一つ一つの取引よりも、全体の収益でみる傾向が強いため、場合によってはお得な取引もできる場合があるのですね。

さらに、ディベロッパーは以下にみるような理由から「いち早く売りぬきたい」という想いが強いということを知っておきましょう。「青田売り」でできるだけ早く完売したいのです。

販売が長引けば土地仕入れの金利負担が重く。工期プレッシャー・販売攻勢も激しく

ディベロッパーは、土地を先に仕入れて(建物規模に応じて)1~3年程度の時間をかけて建物を建てます。

一般的に土地は銀行などから融資を受けて購入し、返済はマンション竣工時です。つまり、建築中はずっと金利支払いが発生します。「時は金なり」なのです。

先ほどの例であげた6億円の土地の場合、金利3%で1年間を支払うとそれだけで「1,800万円」の負担です。3年かかれば5,000万円を超えます。一戸分、購入できる金額です。

ですから工期を守るよう現場のプレッシャーはかなり強く、販売攻勢も激しいのです。着工後まもなく販売を開始し、竣工までに売買契約を取る「青田売り」が横行しているのはここに一因があります。

建築費支払いの大部分は竣工時(or 数カ月以内)に集中。完成前に売り抜きたい

ゼネコンに支払う建築資金はその大部分が竣工時(完成時)または竣工後数カ月以内の支払いです。例えば、着工時10%、上棟時10%、竣工時80%という具合です。

竣工時にマンションの住戸が多く売れ残っていると、建築資金が支払えず、銀行に新たに融資してもらうなど対応しなくてはなりません。さらに、モデルルームを維持し担当者も割り当て続けなければならず、人件費がかさみ時間がかかればかかるほど収益の悪い事業となってしまいます。

とにかく売り急ぎたいというのが一般的な新築マンション販売事業なのです。売り抜くために、リスク情報を隠すといった過度な販売活動や契約を急かされることなどには十分注意しましょう。

一方、中古マンションの場合には、(特殊な事情がない限り)売主は過度に売り急ぐ必要がありません。

中古市場で合理的な値付けがなされる中古と、業者利益が乗り販売攻勢の強い新築、その違いをしっかり知って賢い買い方をしましょう!

 

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