「法定相続情報⼀覧図の写し」1通で相続手続きが可能に。相続登記を促す

政府は2017年5月に、相続登記を促進するための新たな制度として「法定相続情報証明制度」を創設する予定です。

相続が発生した場合、財産を引き受ける相続人は、亡くなられた方(被相続人)の預貯金の名義変更や解約、払い戻し、生命保険金の請求などの手続きを行います。その一方で、土地・建物の名義変更を後回しにして、場合によってはそのまま放置してしまうこともあります。

相続手続きには、例えば被相続人が生まれてから亡くなられるまでの戸籍関係の書類一式を個別に提出しなければならないなど、とても面倒で大変な手続きが待っています。

故人の預金や生命保険の返戻は、煩雑であっても手続きをしなければおカネを使うことができないため実施せざるを得ませんが、相続登記は必ずしも行わなくてもよいのです。これが所有者不明の不動産を生む大きな原因となっています。

政府としては、相続登記を促す目的で、手続きを簡素化するための新たな制度を立ち上げたのです。

一度、法務局が戸籍書類などを確認すればOK。登記官から相続登記を促す効果も

現行制度では、被相続人の口座がある銀行ごとに、また不動産を管轄する法務局ごとに戸籍関係の書類一式を提出する必要があります。

金融機関によっては原本を返してくれない場合もあったり、必要書類も異なったりと、多くの書類を複数枚取得する必要があります。書類を受け取る側にとっても、同じことを何度も確認しなければならず、全体でみて無駄な事務負担が発生しているのです。

法定相続情報証明制度の利用イメージ(内閣府:第13回投資等ワーキング・グループ資料

新たな制度である「法定相続情報証明制度」では、法務局の登記官が、被相続人の戸籍関係書類や、相続人の氏名・住所・生年月日・続柄など法定相続情報一覧図を確認すれば「認証⽂付きの法定相続情報⼀覧図の写し」を発行します。

そうなると、煩雑な資料は法務局へ提出するだけでよく、銀行や生命保険会社、税務署などへの提出書類は、この法務局が認めた証明書1通で済ませられるようにしようとするのが新制度なのです。

そしてこの制度のポイントは、法定相続情報証明制度⼀覧図の写しを取得するためには、一番初めに法務局の登記官と接触する必要があることです。その登記官から、相続登記を行うことの意味やメリット、放置することのデメリットなどを説明し、相続登記を促すことが期待されるのです。

相続登記をしないと取り返しのつかないことに。登記料をケチらず登記を!

相続登記は義務ではないので、そのまま放置しても罰則があるわけではありません。いつまでに登記しなければならないといった期限もありません。

しかし、相続登記をしないことによるデメリットは以下のようにたくさんあり、取り返しがつかなくなることも度々起こっています。

登記しないデメリット(リスク) 説明
不動産を売却できない 所有者を確定し、登記をしなければ第三者へ売却は不可能です
不動産を担保にローンが組めない 金融機関が抵当権を設定できないため、融資を受けられません
不動産を差押えらえられる 相続人の中に借金返済ができなくなった人がいる場合、法定相続分の登記がなされる場合があります
ローンを完済後も抵当権が残る 被相続人の死亡後にローンが完済された場合、相続登記がなければ抵当権の抹消登記ができません

登記しないことによるメリットは、登録免許税(固定資産評価額の0.4%)や司法書士への手数料などおカネが節約できることくらいです。

少々の時間やおカネ、手間などを惜しまず、相続が発生して遺産分割協議がまとまった段階ですぐに登記しましょう。

以下ではそれぞれ具体的にみていきましょう。

急増する相続人。承諾を得られず売却も融資も不可、不動産活用が困難に

相続が発生すれば、相続人が財産を引き受けることになります。

もし登記を行わずに何年も経てば、その相続人の中の誰かが亡くなることも起こります。そうなると、亡くなった相続人の子などが、新たな相続人(権利者)となります。財産の分け方をまた再度話し合う必要がでてきます。

そして、その新たな相続人が亡くなれば、さらにその子などが相続人となり…と、あっという間に(ネズミ算式に)相続人が膨れ上がっていたというケースも少なくありません。

相続財産の持ち分を売却したり、銀行から融資を受ける際には、まず所有者が登記を行う必要があります。登記されるまでは外見上、相続人全員の共有財産とみられてしまうためです。

十数人にも増えた相続人全員の承諾(署名・捺印)を得る必要があり、まして行方不明者や音信不通者などがいれば登記は絶望的になってしまいます。

財産が差し押さえに?登記は相続人一人でも、債権者による代位申請も可能

相続登記は、例外的に(遺言書や遺産分割協議書がなくても)相続人の内、一人だけで申請できます。

知らない間に、法定相続通りの所有権持ち分を相続人の誰かが登記されるかもしれません。そして、その登記を基に登記した相続人が借金(金融機関が抵当権を設定)することもできます。

さらに悪いことにその相続人が借金を返済することができなくなり、債権者から相続財産の一部を差し押さえられれば、仮に自分の持ち分がある財産であっても自由に処分することができなくなります。

また、元々、法定相続人がおカネを借りていた場合、相続が発生した後、債権者(おカネを貸している人)がその相続人(借りている人)の代わりに登記(代位申請)することもあります。

「財産の法定相続分は債権者が差し押さえた」と主張されてしまうことになってしまいます。

ローンを完済しても抵当権を抹消できない。売却も借り入れも困難に

被相続人が死亡し、団信(団体信用生命保険)によって住宅ローンが支払われ完済したとします。

この時、相続人が相続登記を行い、あわせて抵当権の抹消登記を行わないと、その住宅を担保に新たな借り入れができなかったり、住宅を売却できなくなります。

買い手側からすれば、いくら住宅ローンを返済済みといわれても登記簿謄本から消去されていない限りその事実が確認できません。また、その住宅に借金が残っているとみなされれば、この物件とは関係のない融資の審査にも、悪い影響を及ぼす可能性があります。

おカネを借りた相手が倒産したり、個人からの借入の場合にその債権者が音信不通となったりと、相手方がいなくなっていればさらに面倒なことになります。

抹消のために弁護士などを雇って裁判などを行わなくてはならない場合もあり、時間も費用も手間も多くかかります。このような事態に陥らないよう、相続が発生したら登記を必ず行いましょう!

 

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