不動産の権利に関する登記は任意。そのまま放置して所有者が不明に…

2017年4月5日に実施された、政府の規制改革推進会議「第13回投資等ワーキング・グループ」(内閣府)で、不動産登記の見直しが議論されています。

不動産の登記は、マイホームを購入した際や、住宅ローンを組んだ時・完済した時などに、「この家は私のものです」と第三者へ主張することや「銀行から借り入れを行っており、家が担保に入っています」と周知することなどの目的があります。

そして、相続が発生した時にも、被相続人から相続人に所有権が移った際に、登記することで第三者に対して「この家は相続によって所有者が変わりました」と権利関係を発信できます。

ポイントは、この権利に関する登記が義務ではなく任意、つまり登記しなくてもいいということです(不動産登記法第16条第1項)。所有権を持った人が能動的に申請して初めて登記情報が書き換えられるため、相続を受けてなにもしなければ登記簿謄本上は過去の所有者のままなのです。

現実の状況と登記情報がかけ離れている実態があり、これを是正しようと検討を始めたのです。

登記しないと空き家の増加に拍車をかける?都市開発が進まないなど、問題点が多数

登記が放置されてしまうと、その土地や建物が誰のものであるか客観的にわからなくなってしまいます。

例えば、相続を受けた方が亡くなり、さらに相続が発生すればネズミ算式に相続人が増え続け、手に負えなくなります。登記簿情報がアップデートされないことによる弊害や、主な問題点には以下のようなものがあります。

問題点 説明
空き家の増加 登記がなされないと、所有者不明の土地・建物が増加。空き家の増加や老朽家屋の放置が進展
開発の停滞 大規模開発などで地権者の了承が必要な場合、(相続人含め)所有者の確定の調査が必要に
固定資産税の未徴収 所有者に課せられる固定資産税や都市計画税の徴収のために、所有者の確定の調査が必要に
地籍調査の停滞 地籍調査が進展せず、正確な公図の作成が進まない
農地・林地の利活用阻害 農地・林地の集約化を進めるなど有効利活用を行うにも、所有者の承諾が得られず停滞

例えば、周囲に危険を及ぼしかねない老朽化した家屋があっても所有者が確認できず、取り壊しできません。2015年2月に施行された「空き家対策特別措置法」によって所有者が特定できない「特定空家等」は行政代執行でも取り壊し可能となりましたが、それでも限界があります。

政府としても、登記情報がネックとなり空き家の有効利用や都市開発などが進まない事態を避けようと規制改革の議論に着手した格好です。

閣議決定された「経済財政運営と改⾰の基本⽅針2016」や「⽇本再興戦略2016」、「ニッポン⼀億総活躍プラン」でも、政府として「空き家の活用や都市開発等の円滑化のため、土地・建物の相続登記を促進する」などとされています。

登記手続きを促すために簡略化と無料(低廉)化。義務化と職権拡大の案も

登記を行う場合、登録免許税(=固定資産税評価額×0.4%)がかかります。この費用を無料またはゼロ円とはいかなくても今より安くすることが一つの案です。

また、登記手続きの簡略化も検討議題の一つです。

法定相続情報証明制度の利用イメージ(内閣府:第13回投資等ワーキング・グループ資料

実際に、相続登記(相続が発生して所有権が変わった場合の登記)については新たな制度「法定相続情報証明制度」が始まる予定です。

これによって、面倒な戸籍関係書類は法務局の登記官に確認してもらうための一度きりになり、面倒な作業が削減されるでしょう。

登記の義務化や、法務局の登記官の職権拡大などによって登記を促す強い案も

一方で、空き家発生や開発を阻害する温床にもなっている相続登記の放置に対して、登記を権利ではなく義務化する案もあります。

また、法務局の登記官の職権(審査権限など)を拡大させる案もあります。

相続登記がなされていない不動産について、登記官が相続人を特定して、職権によって半強制的に登記したり所有者に催促したりするものです。

アメ(簡略化・無料化)とムチ(義務化・職権拡大)の両面から不動産登記を促そうとする案がだされているのですね。

マイナンバーとの連携やブロックチェーン、常時無料公開など積極活用案も

マイナンバー(税と社会保障の共通番号)と登記を関連付けようとする考えもあります。

しかし、マイナンバーは個人情報よりも強く保護されるべき「特定個人情報」です。その利用目的は、社会保障・税・災害対策に限定されており、本人の同意があったとしても、利用目的を超えて特定個人情報を利用してはなりません。

一方で、登記情報は不動産に関する権利関係を、広く一般に公開することを前提としており、分野も「社会保障・税・災害対策」を超えたものです。これらを連携させることには慎重な検討が必要です。

また、登記簿謄本は物件ごとにその履歴や権利関係を記録していくものですがマイナンバーは個人に紐づくものです。人単位で登記情報を記録していくもので、これまでとどのような違いが出てくるのか、国民へ説明する必要もあるでしょう。

例えば、マイナンバーによって個人の死亡が判明すれば、登記官が相続人に対して登記情報の書き換え(相続登記)を促すような利用方法が考えられます。

登記簿謄本が休日含めインターネットで無料公開?民間活用を促し不動産事業を活性化

現行の制度では、不動産の登記事項証明書を取得する場合、1通あたり300円程度の手数料を支払う必要があります(不動産登記法第119条)。

これを法改正し、無料で提供することで民間の不動産事業の活性化につなげようとする考え方です。

現在のところ登記情報を取得するには、役所へ取りに行くか、一般社団法人民事法務協会がインターネットで提供する「登記情報提供サービス」を使います。いずれも平日のみで、取得は有料で費用が掛かります。

欧米では不動産の情報は公共財産という考え方があり、登記簿に取引価格を記載することも行われています。一方日本では、権利関係が不明なためにその確認作業に手間取り不動産活用が阻害されることも少なくありません。登記情報を使いやすくすることが業界からは求められています。

尚、登記簿情報に限らず、固定資産台帳や農地・林地台帳なども公開の可否が検討される模様です。

複数のPCで互いに監視する「ブロックチェーン」技術で改ざんのない情報を共有?

インターネットで結ばれている複数のコンピュータで、不動産情報や取引履歴を共有・監視し、改ざんすることが難しい形で保存する「ブロックチェーン」という技術を用いることも検討されています。

新たな形の不動産データベースとして利活用できることに加え、登記や決済などの行政サービスへの活用が見込まれているようです。

一方で、実際にこの技術を登記情報などの保存・共有方法として用いた例はなく、どのようなリスクがあるかなどを慎重に検討する必要があるでしょう。

情報の積極活用は、その裏に悪意を持った利用といったリスクもあります。不動産取引がどのように変わる可能性があるのか、今後の議論を注視していきましょう。

 

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