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土地の境界の決め方

境界確定は所有者全員の合意が原則。登記簿面積は意外と曖昧

土地の境界は曖昧なことが少なくない。建築が制限されることも

土地の境界は、特に明治時代などには縄や歩幅で測ったといわれる地域もあるくらい、登記簿に記載されている地積(土地の面積)と実際とでは異なる場合があります。

正確に登記されていても、年数を経るにつれて境界標識が地中に埋もれたり、地震などで地形が歪む場合もあり、不明瞭になっていきます。

たくさんの住宅・模型_s特に、建物を新築する場合には、敷地面積に関わる建築基準(建ぺい率・容積率)がありますが、これは実測値に基づきますので、境界を明確にしなければ計測できません。実測したら想定と異なり、建築が制限されてしまう可能性もあります。

どのように境界が定まるのかについては、不動産を購入したり売却したりする際に特に重要になります。しっかり理解しましょう。

境界確定の方法は所有者全員の立ち合いによる合意

土地の境界線を定める一般的な方法は、まず土地家屋調査士が現況を調査し測量、現況図面を作成します。これを基に、境界線を定めるために利害関係者(隣接する所有者)の立会いの下、合意の上で境界を決定します。

合意できれば、境界の確認書(協定書)へ全員が署名捺印し、境界標を埋設します。境界標には、コンクリート杭やプラスチック杭、木杭、金属プレートなどさまざまな種類があります。

境界標杭_s長方形の土地の場合、隅の4地点を確定させる一連の手続きでも50万円程度要し、期間も2カ月程度はみておいた方がよいでしょう。

また、境界を確定させた上での実測面積が、登記簿面積と異なる場合には、地籍更正登記という手続きで登記簿面積を書き換えることができます。

確定すべき境界には「官民(かんみん)」「民民(みんみん)」の両方がある

土地は原則として道路に面しているため、同じ境界点であっても民有地(私有地)と(道路や公園などの)官有地(公有地)、民有地(私有地)と民有地(私有地)という2種類の合意が必要です。

官有地との境界を明確にさせるためには、管轄する役所の担当者立ち会いのもとで測量をします。これを「官民査定」といいます。同様に、民有地同士の境界確認のために行なう測量は「民民査定」と呼ばれます。「官民」や「民民」と略されることもあります。

道路境界画定_m例えば上図の所有者Aが自分の土地の境界をはっきりさせたいとします。その場合には、X・Y・Z・ωの点を明確にすることで境界線が明確化されます。

X点については、官民で役所の担当者と、Y点については役所と所有者Bと、Z点については所有者B・Cと、ω点については役所と所有者Cとの間でそれぞれ合意しなければなりません。境界点を確定させるためには、複数人と複数個所について合意を取る必要があるのです。

土地家屋調査士は境界を決める権限はない

境界はあくまでも所有者同士で決めるものです。土地家屋調査士は、境界を確定するための土台となる測量を実施したり、適切に役所に申請したりすることを行う補助的な位置づけです。

特に民民査定では、所有者によっては合意を取ることが難しいこともありトラブルとなることもあり、一番のハードルは合意です。

shakehands_ss逆に、登記簿面積と実測が異なっても支障がなければ、土地家屋調査士を介在させず、所有者間同士で合意書を作成して土地を利用しても問題はありません。

また、官民査定は役所が相手であるため、平日に関係者が立ち会わなければならないなど手間暇がかかるため、民民査定だけ実施し官民査定は行わない場合もあります。

境界を確定する実測売買と、登記簿を信じる公簿売買(登記簿売買)

不動産売買を行う場合、境界をあらためて確定した上で売買を行う「実測売買」と登記簿に記載されていることを正しいとみなして売買する「公簿売買(登記簿売買)」があります。

つまり、公簿売買は(誤差があろうとなかろうと)登記簿に表示されている土地の面積を基準として金額を定め、売買する方法です。一方で、実測売買は契約時に実際に面積を測量して、その面積に応じて売買金額を変動させる方法です。

実測売買は実際に面積を測ってから売買。ただし境界を確定しない場合も

実測売買を行う時の実測は、隣地の所有者と立会いの下で境界を確定してから厳密に測量する場合や、隣地所有者は立ち会わずに売主が自分で思う境界点を基に測量する場合などがあります。

測量・メジャー巻き尺・計測・境界画定_s所有者間の合意を取る方法で作られる測量図を「確定測量図」、立ち合い合意がなく、境界標の位置や現況から判断して作成される図面を「現況測量図(仮測量図)」などと呼びます。

尚、測量費用はおカネがかかりますので、事前に買主・売主間で費用負担を話し合うことが大切です。

公簿売買や現況測量に留まる実測売買は購入後にトラブルになる可能性

隣人の所有者との立ち合い合意が不要である分、手間がかからないのは現況測量による実測売買や公簿売買です。ただし、買主は購入後、隣人などとトラブルになる可能性をはらみます。

悩む・困る・ご近所トラブル_sもちろん、過去に確定測量図が作成されており、土地の面積に疑問が残る余地がなければ問題となることはないでしょう。

購入後に実測を行う場合には、まだ関係が築けていない隣人と揉めることも考えられます。境界が不明瞭な場合には、契約前に売主に隣人との合意を得るようにお願いすることがよいでしょう。

境界線の位置で揉めたら「筆界特定制度」も一案

隣人と境界線(点)について合意が難しい場合、裁判という手もありますがその前に、筆界特定制度を利用するのも一案です。

筆界と境界(所有権界)の定義は異なるが、結果は一致することが多い

これは、厳密には「筆界(ひっかい)」を特定する制度で、土地の所有権がどこまであるのか(所有権界)を特定するものではありません。ただし後述するように多くの場合、境界(所有権界)と筆界は一致するといわれています。

筆界とは、「土地が登記された際にその土地の範囲を区画するものとして定められた線であり、所有者同士の合意などによって変更することはできない」とされていますが、つまり、土地が登記された時の区画のことです。

その後の所有権を一部譲渡したりした場合には、所有権の境界とは異なる場合があるかもしれませんが、多くの場合には筆界は所有権の範囲と一致します。

裁判よりも費用も安く時間も短縮できる。納得できなければ後で裁判も可

筆界特定の結果に納得することができない時は後から裁判で争うこともできますので、まずは裁判よりも時間も費用も少なくてすむ筆界特定を行うことがよいでしょう。

裁判所_s筆界特定では、筆界調査委員という外部専門家が土地の実地調査や測量などさまざまな調査を行った上、筆界に関する意見を筆界特定登記官に提出し、これを基に筆界特定登記官が筆界を特定します。

【参考】市町村が実施している地籍調査が遅々として進んでいない

行政が境界を確定してくれればトラブルが少ないのですが、実は市町村が主体となって一筆ごとの土地の所有者や地番・地目などを調査し、境界位置と面積を調査する「地籍調査」を60年以上にわたり実施しています。

しかし、2015年3月末時点でも進捗率は51%に留まっており、まだまだ成果を得られるのはは先になりそうです。

地積測量図の半分は未だ明治時代のもの。正確さは期待できない

法務局に登記されている「地積測量図」という測量図があり、これを公簿売買時に参考資料として使うなどはできますが、特に都心部ではこれがない場合も少なくありません。

クラーク博士・明治時代に来日_s登記されているとはいっても、約半分は明治時代に作られた測量図であり、その時代の測量技術の低さや隣地所有者との合意もなく登記されたものもあり、その精度は玉石混交といえるでしょう。

登記所に備え付けられている地図や図面は、境界や形状などが現実とは異なっている場合が多くあり、土地の面積も、正確ではない場合があるのが実態なのです。

境界確定のまとめ

敷地の境界を確定するのは、利害関係者の合意が取れることが原則です。

しかし実際にはなかなかハードルが高い面もあります。過去に所有者合意の下、確定測量図が取れている土地であれば安心できますが、境界が曖昧になっている土地を購入する場合はできるだけ確認したいものです。

境界は普段の生活であまり意識しないことが多く、実際に生活する上で支障がないこともありますが、不動産を売却する際に買主から要望されることも考えられます。

次では、敷地面積に関わる建ぺい率と容積率をみていきましょう。

建ぺい率による制限

 

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