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地域地区による制限(用途地域以外)

容積率や高さを制限・緩和して市街化促進・防災・美観などの特例

用途地域に加えて、さらに制限する地域地区

用途地域の1つである工業専用地域に割り当てられた地域には住宅は建てられず、また、第一種低層住居専用地域には大学や病院が建設できません。このような用途制限に加えて、例えば建物の高さを詳細に制限したい時などに、用途地域に加えてさらに地域地区で縛ることができます。

地域地区・住宅・設計図図面・定規・コンパス_sまた、制約をきつくするだけでなく、積極的に市街化を促進したい地域では、用途地域で定められた容積率などを緩和することもできます。目的に応じて硬軟使い分けているのです。

都市計画法第8条に定められた地域地区にはたくさんの種類がありますが、重要な以下の項目に絞ってみていきましょう。

分類 地域地区 補足・主な法的根拠
制限の基準 用途地域 12種の用途を定めた地域(市街化区域に必ず設定)
特例 特別用途地区 用途地域内で特別な目的のために、制限緩和または制限・禁止を定めた地域・地区
特定用途制限地域 商業専用地区など用途地域をさらに制限するための地域
容積率緩和 特例容積率適用地区 未利用の容積を他の敷地に移し土地を高度利用する地区
高層住居誘導地区 高層住居の建築を促進し、利便性を高める都心地区
高さ制限 高度地区 建物の高さの最低・最高限度を定めた地区
市街化促進 高度利用地区 土地を高度に利用するための地区
特定街区 超高層ビルなどを建設する都市基盤が整備された地区
防災 防火地域 建物構造を厳しく制限する防災地域
準防火地域 防火地域より規制緩和された防災地域
特定防災街区整備地区 密集市街地整備法第31条第1項
美観 景観地区 景観法第61条第1項
風致地区 自然美を維持保存するための地区

【特別用途地区】用途地域に重ねて自由に制限を課す地区

特別用途地区とは「用途地域内の一定の地区における当該地区の特性にふさわしい土地利用の増進、環境の保護等の特別の目的の実現を図るため当該用途地域の指定を補完して定める地区」です(都市計画法第9条13項)。

湯島天満宮・観光地?_s「用途地域の指定を補完して定める」という言葉通り、(全国一律で適用条件が決まっている)用途地域に対して、地域の実情に合わせて制限を変えたい場合に、用途地域の上から重ねて制約を課すものです。

どのような制限とするかは地方自治体が自由に定めます。例えば、商業専用地区や文教地区、観光地区などと決め、それに合わせて制限を付加するのです。

【特定用途制限地域】用途地域以外で自由に制限を課す地区

特定用途制限地域とは「用途地域が定められていない土地の区域内(市街化調整区域を除く。)において、その良好な環境の形成又は保持のため当該地域の特性に応じて合理的な土地利用が行われるよう、制限すべき特定の建築物等の用途の概要を定める地域」です(都市計画法第9条14項)。

特別用途地区が用途地域のさらに上から制限をかけるのに対して、(市街化調整区域を除き)用途地域が定められていない土地、つまり非線引区域や準都市計画区域に指定される制限です。

これもどのような制限とするかは地方自治体が独自に決めます。

【特例容積率適用地区】未利用容積率を敷地間で移動し上乗せする地区

特例容積率適用地区とは「建築物の容積率の限度からみて未利用となつている建築物の容積の活用を促進して土地の高度利用を図るため定める地区」です(都市計画法第9条15項)。

12種の用途地域の内、第一種・第二種低層住居専用地域、工業専用地域以外の9種類の用途地域内で指定することができます(都市計画法第9条15項)。

つまり、使用されずに残っている容積率を他の敷地に移動させ、上乗せして土地の有効利用を実現するものです。両方の地権者の申請に基づいて特定行政庁が指定します。

東京駅周辺_s例えば容積率500%のエリアで、ある土地100㎡が300%のみ容積率を使用していて(延床面積300㎡の建物を建てていて)、まだ200㎡の容積率が余っているとします。その場合、そのエリアの他の敷地100㎡に対して、容積率200%を上乗せして700%まで認めるのです。

ただし、容積率を移動させることに関する利害関係者の事前同意の上、容積率を緩和する敷地は上乗せしても交通や安全、防火、衛生上の支障がないことが条件です。場合によっては建物の高さの最高限度が指定されます。

東京の丸の内地区にも指定されており、JR東日本が、東京駅上空の余った容積(空中権)を周辺の「新丸の内ビル」や「ツインタワー」、「東京ビル(TOKIA)」などへ約500億円で売却し、東京駅の改装費用を捻出したこともあります。

【高層住居誘導地区】容積率を緩和して高層住宅の建設を促進する地区

高層住居誘導地区とは「住居と住居以外の用途とを適正に配分し、利便性の高い高層住宅の建設を誘導するため、建築物の容積率の最高限度、建築物の建ぺい率の最高限度及び建築物の敷地面積の最低限度を定める地区」です(都市計画法第9条16項)。

第一種住居地域、第二種住居地域、準住居地域、近隣商業地域、準工業地域の5つの用途地域の中で、あらかじめ指定された容積率が400%または500%の地域において定められます(都市計画法第9条16項)。

マンション・緑_sこれはその名の通り、高層住宅を建築させるよう誘導する(促す)地区であり、その地区に人口を呼び寄せようとするものです。容積率を緩和することで高層住宅を建築できるようにします。

主に、職場と居住地が近く利便性が高い良好な都市環境の実現のための地区で、コンパクトシティにも方向性が合致する地区ともいえるでしょう。

建物の住宅部分が延床面積の2/3以上ある場合には、容積率が最高600%まで容積率が引き上げられ、高さ制限や前面道路幅員による容積率制限、道路・隣地斜線制限などが緩和される他、日影規制の対象外となり、より高層のマンションを建てられます。

【高度地区】建物の高低を制限する地区

高度地区とは「用途地域内において市街地の環境を維持し、又は土地利用の増進を図るため、建築物の高さの最高限度又は最低限度を定める地区」です(都市計画法第9条17項)。

つまり、あまり市街化を進め過ぎたくない場合には建物高さの最高限度を、市街化を進めたい場合には最低限度を決めるのです。後者の場合、(7mや12mなど)最低限の高さがないと建物を建てることができません。

しかし、具体的にどのように高さ制限を課すのかについては明記されておらず、自治体ごとに異なります。

建築基準法でも「建築物の高さは、高度地区に関する都市計画において定められた内容に適合するものでなければならない」(建築基準法第58条)と言及するに留めています。

【高度利用地区】市街化を積極的に進める住宅街

高度利用地区とは「用途地域内の市街地における土地の合理的かつ健全な高度利用と都市機能の更新とを図るため、建築物の容積率の最高限度及び最低限度、建築物の建ぺい率の最高限度、建築物の建築面積の最低限度並びに壁面の位置の制限を定める地区」です(都市計画法第9条18項)。

つまり、高度利用地区では容積率の最高限度・最低限度や建築面積の最低限度を定め、容積率や建築面積がが少ない建物(土地活用に乏しい小規模建築物)を規制します。

高層マンション街_s用途地域で定められた容積率を上回る指定がなされ、制限が緩和されるため、住宅街において超高層マンションが建築されたりします。

同時に建ぺい率の最高限度を定め、建築物の敷地内に周辺住民が利用可能なオープンスペース(公開空地)を確保することで土地の高度利用を可能にする狙いがあります。

尚、高度利用地区は高度地区と名称が似ていますが意味は異なります。つまり、土地を”高度に”利用するための地区が高度利用地区であり、”高度(高さ)”を制限するのが高度地区です。高度利用地区は高さは関係ありません。紛らわしいですね。

【特定街区】市街化を積極的に進めるオフィス街

特定街区とは「市街地の整備改善を図るため街区の整備又は造成が行われる地区について、その街区内における建築物の容積率並びに建築物の高さの最高限度及び壁面の位置の制限を定める街区」です(都市計画法第9条19項)。

つまり、ここまでなら建ててもよいという容積率と建築物の高さの最高限度を定め再開発において超高層ビルを建てる場合など市街化を積極的に図る地区に設定されます。さらに、ある土地で余った容積率を近隣に移転することも認められることがあります。

再開発・渋谷駅周辺_s住宅街などに指定される高度利用地区に比べ、特定街区は一般にオフィス街や商業地に指定されるもので、超高層ビルや商業ビルが建設されます。

一般の建ぺい率や容積率、高さ制限は適用されず、都市計画に基づいて特定街区に指定した基準に緩和されます。市街化を推し進めたい場合の特例みたいなものですね。

高度利用地区も特定街区も、自治体が肝いりで開発を行おうとしている地区であり、これらに指定されたエリアは近い将来超高層建物が立ち並び、利便性が向上することが約束された地域といえるでしょう。

【防火地域・準防火地域】火災の被害を事前に抑え込む地域

防火地域または準防火地域とは「市街地における火災の危険を防除するため定める地域」です(都市計画法第9条20項)。これに基づき、建築基準法によって具体的な制限を課しています。

つまり、人口密集地域などでもし火災が起こればその被害が大きいと考えられる地域を防火地域に、またそれに準ずる地域を準防火地域に指定して燃えにくい建物を建て防災機能を高めるよう制限しているのです。

消化活動・防火防災・家・消防車_s防災機能を備えた建物は耐火建築物と呼ばれ、一定の(鉄骨)鉄筋コンクリート造の建物です。それに準ずるものとして準耐火建築物とは一定の鉄骨造などを指します。

例えば東京都でいえば千代田区や中央区はそのほとんどが防火地域に指定されていますが、この地域に建物を建てる場合には木造は建てられず、一般的に建築コストが高くなることに注意しましょう。

原則として、防火地域や準防火地域に指定された地域では以下の条件に従い、耐火性能を有する建物としなければなりません。

建築物 防火地域 準防火地域
耐火建築物
(いずれかに該当)
  • 3階(地階含む)≦階数
  • 100㎡<延床面積
  • 4階(地階除く)≦階数
  • 延床面積1,500㎡<延床面積
準耐火建築物でも可
(いずれかに該当)
その他(階数≦2階かつ延床面積≦100㎡)
  • 階数=3階(地階除く
  • 500㎡<延床面積≦1,500㎡以下

つまり、防火地域であれば(地階を含む)3階建て以上または延床面積100㎡以上であれば耐火建築物を、その他は準耐火建築物(または耐火建築物)を建築します。いずれにしても、この地域には原則として準耐火建物以上の防災機能が備わった建物しかありません。

階数\延床面積 延床面積≦100㎡ 100㎡<延床面積
3階≦階数 耐火建築物
階数≦2階 (準)耐火建築物 耐火建築物

地階を含むという意味は、地下1階・地上2階建ての建物は、地下を含めて3階建てとみなされるということで耐火建築物とせねばならず、厳しい制限を課しているということです。

準防火地域の場合には、(地階を除く)2階建て以下の建物かつ500㎡以下の建物であれば、準耐火建築物にすることもなく(一定の防火措置が必要ですが)木造建築物を建てられます。

階数\延床面積 延床面積≦500㎡ 500㎡<延床面積≦1,500㎡ 1,500㎡<延床面積
4階≦階数 耐火建築物
階数=3階 (準)耐火建築物 耐火建築物
階数≦2階 (一定の防火措置を講じた)
木造建築物でも可
(準)耐火建築物

(準)防火地域にはその他に規制がある

(準)防火地域では火災による被害を留めるために他にも以下の制約があります。準防火地域のみ広告塔の規定は適用されません。

規定 防火地域 準防火地域
高さ3m超または屋上の広告塔には不燃材料を用いなければならない ×
(適用外)
高さ2m超の門や塀には不燃材料を用いなければならない
屋根は火災防止のための一定の技術的基準を満たさなければならない
外壁が耐火構造の建物は隣地境界線に接して建築してよい

最後の外壁の規定のみ、制限を緩和するものです(建築基準法第65条)。

尚、(準)防火地域とは関係なく、屋根や木造建築物の外壁に一定の基準を課す「屋根不燃区域(屋根不燃化区域)」というものを定めることもできます(建築基準法第22条)。

建築物が異なる地域にまたがる場合は厳しい方が適用される

防火地域と準防火地域の境界線上に建物がある場合や、一方が特に指定のない地域でもう一方が(準)防火地域である場合などは、そのまたがっている建物全体に対して、厳しい方の規定が適用されます。

つまり、準防火地域と防火地域にまたがる建物は全体を防火地域基準に、無指定地域と(準)防火地域にまたがる場合には(準)防火地域にしなければなりません。

また、屋根不燃区域についても同様に、厳しい方が適用されます。

【景観地区・風致地区】美しさを保つ(創り出す)地区

景観地区とは「景観法第61条第1項の規定による景観地区」(都市計画法第8条6項)のことで、「市街地の良好な景観の形成を図る」地区です。

市街地の景観を維持または良好な景観をこれから創っていこうとするものです。「人工美」を維持・創造する地区といえますね。

その為に、景観地区内では、建築物の形態意匠の制限や建築物の高さの最高限度または最低限度、壁面の位置の制限、建築物の敷地面積の最低限度などを定めます。

風致地区・沖縄・自然緑海・家住宅_s風致地区とは「都市の風致を維持するため定める地区」です(都市計画法第9条21項)。残された自然を守り、風景や趣などを維持していこうとするものです。

景観地区の人工美に対して、自然美を維持するものといえますね(維持のみで自然美を創造lすることはしません)。

その為に、風致地区内では建ぺい率や建築物の高さ、外壁後退、建築物の形態意匠などについて、厳しく規定されます。

景観地区も風致地区も各自治体によって具体的な制限内容が異なりますが、建物を建てる時などには都道府県や市町村の認定や許可が必要となり、場合によっては思い通りの建物が建てられませんので注意が必要です。

用途地域以外の地域地区のまとめ

用地地域以外にも、その地区を細かに縛る制限または緩和する措置が取れます。

多くは地方自治体によってその制限の内容は異なりますので、不動産を取得しようとしているエリアにおいて、どのような規制があるかを事前に知っておくことは大切です。

次は、住民が一致団結して自分たちの街のルールを決めることができる建築協定という方法をみていきましょう。

建築協定による制限

 

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