相続以外で不動産を取得した場合に課税
不動産取得税とは、不動産を手に入れた時に課される税です。
取得というのは、有償無償に関係なく(おカネを出したかどうかに関係なく)売買や贈与、交換、新築や増築が含まれますが、相続によって取得した不動産には課税されません。
また、所有権の移転登記が行われていない場合にも、取得すれば課税対象です。忘れないようにしましょう。
不動産取得税の額(計算方法)
税金の計算方法は以下の通りです。
土地・建物の不動産取得税=固定資産税評価額×4%(標準税率)
税額の軽減措置:土地は評価額「半分」×税率「3%」、住宅は税率「3%」
税額の軽減措置が講じられており、土地については固定資産税評価額を半分とすることに加えて税率を3%、建物(家屋)については家屋が住宅であれば税率が3%となります。つまり以下の通りです。
住宅でない場合は、本則の税率である4%となります。
住宅には、毎月1日以上居住するセカンドハウス(職場の通勤に差し支えるため、平日または休日のみに過ごす家など)も含まれますが、日常生活ではめったに使わない、いわゆる別荘は含まれません。
新築住宅の場合の減税特例
以下の要件を満たす新築住宅については、その住宅が建つ土地と建物について、さらに減額される特例があります。
建物のみ、または土地のみが要件を満たす場合、片方のみが適用されます。
特例適用の要件
建物の特例要件は以下をすべて満たすことです。
- 居住用の住宅(マイホーム・セカンドハウス・賃貸用マンションなどを含む)
- 50㎡(戸建以外の貸家住宅は1戸当たり40㎡)≦課税床面積≦240㎡
上記の要件を満たす建物が建つ土地について、特例要件は以下のいずれかを満たすことです。
- 土地と建物を同時に取得すること
- (土地先行取得の場合)取得から3年以内に建物を新築すること
- (建物先行取得の場合)住宅を新築した人が、1年以内にその土地を取得すること
土地先行取得というのは土地を先に抑えて、後から建物を建築する場合です。
一方で建物先行取得というのは、例えば土地を所有するのではなく借りていた場合に、住宅を建築した後に土地の底地権を買い取って、借地権から所有権へ変更する場合です。
税額(計算方法):住宅は1,200万円も評価額が控除される
特例適用の要件を満たす場合、税額は以下のようになります。土地・建物一方しか満たさない場合は、その満たす方のみの計算式が適用されます。
- 土地の不動産取得税=(固定資産税評価額×1/2)×3%-控除額(以下の内多い金額)
- 45,000円
- (土地1㎡当たりの固定資産税評価額×1/2)×(課税床面積×2(200㎡が限度))×3%
- 建物の不動産取得税=(固定資産税評価額-1戸当たり1,200万円)×3%
つまり、土地の面積が200㎡以下かつ床面積の2倍以内に収まれば、また建物は固定資産税評価額が1,200万円以下であれば、それぞれ不動産取得税はゼロとなります。
土地の控除額が少し複雑ですが、土地の税計算の中に、建物の床面積が入ってきていることにご注意ください。
建物の課税床面積が土地面積に比べて小さい場合は、土地を有効活用していないといえ、税の優遇が小さくなるとイメージください。
認定長期優良住宅のさらなる特例:住宅の控除額が1,300万円になる
長期優良住宅であれば、建物の税額がさらに100万円優遇され以下となります。
建物の不動産取得税=(固定資産税評価額-1戸当たり1,300万円)×3%
中古住宅の場合の減税特例
一定の要件を満たす中古住宅と、その住宅が建つ土地についてはさらに減額される特例があります。
特例適用の要件
建物の特例要件は以下をすべて満たすことです。自分で使うための住宅に限られ、賃貸用マンションは適用外となることに注意しましょう。
- 自己使用の居住用の住宅(マイホームまたはセカンドハウス)
- 50㎡(戸建以外の貸家住宅は1戸当たり40㎡)≦課税床面積≦240㎡
- 以下のいずれかに該当すること
- 登記簿上の建築日が1982年1月1日以降
- 新耐震基準の適合証明書または既存住宅売買瑕疵保険加入を証する書類を提出すること
- 新耐震基準に適合しない住宅を入居前に改修して新耐震基準に適合させること
上記の要件を満たす建物が建つ土地について、特例要件は以下のいずれかを満たすことです。
- 土地と建物を同時に取得すること
- (土地先行取得の場合)取得から1年以内に建物を新築すること
- (建物先行取得の場合)住宅を新築した人が、1年以内にその土地を取得すること
税額(計算方法)
特例適用の要件を満たす場合、税額は以下のようになります。
- 土地の不動産取得税=(固定資産税評価額×1/2)×3%-控除額(以下の内多い金額)
- 45,000円
- (土地1㎡当たりの固定資産税評価額×1/2)×(課税床面積×2(200㎡が限度))×3%
- 建物の不動産取得税=(固定資産税評価額-1戸当たりの控除額)×3%
新築時期 控除額 1997年4月1日~ 1,200万円 1989年4月1日~1997年3月31日 1,000万円 1985年7月1日~1989年3月31日 450万円 1981年7月1日~1985年6月30日 420万円 1976年1月1日~1981年6月30日 350万円 1973年1月1日~1975年12月31日 230万円 1964年1月1日~1972年12月31日 150万円 1954年7月1日~1963年12月31日 100万円
新築住宅の場合と同様に、土地の面積が200㎡以下かつ床面積の2倍以内に収まれば、どんなに土地の固定資産税評価額が高くても土地の不動産取得税はゼロとなります。
また、建物は新築時期によって控除額が異なります。
新しければ新しいほど住宅の質が高いと考えられ、優良な住宅を長く使うよう促す国の方針にも合致するため、減税幅を大きくしているのですね。
【具体例】不動産取得税額の計算
2010年築の中古住宅(課税床面積100㎡・土地面積180㎡)をマイホームとして購入した場合を考えましょう。固定資産税評価額は土地3,000万円・建物1,700万円とします。
中古住宅の特例が適用できる場合
中古住宅の特例を適用できますので、それぞれ税額は以下の通り合計「15万円」となります。
- 土地の不動産取得税「0円」=(固定資産税評価額3,000万円×1/2)×3%-控除額50万円
- 「50万円」=(土地1㎡当たりの固定資産税評価額3,000万円÷180㎡×1/2)×(課税床面積100㎡×2)×3%と「45,000円」の大きい方
- 建物の不動産取得税「15万円」=(固定資産税評価額1,700万円-1戸当たりの控除額1,200万円)×3%
- 控除額1,200万円は、新築時期が1997年4月1日以降なので、表より1,200万円となります
新築時期 控除額 1997年4月1日~ 1,200万円
- 控除額1,200万円は、新築時期が1997年4月1日以降なので、表より1,200万円となります
土地の税額については、土地面積180㎡が200㎡以下かつ床面積100㎡の2倍以内に収まっていますので、細かい計算をする前にゼロと分かりますね。
中古住宅の特例が適用できない場合
もしマイホームではなく、他人に貸す投資用物件として同じ中古住宅を取得した場合には、中古住宅の特例が使えないため以下の通り「96万円」となります。
土地の不動産取得税「45万円」=(固定資産税評価額3,000万円×1/2)×3%
建物の不動産取得税「51万円」=固定資産税評価額1,700×3%
大幅に値上がりしますね。
土地については、評価額がいくらであろうとも200㎡以下かつ床面積の2倍以内に収まっていればゼロ、建物は新しければ1,200万円もの控除が受けられます。これが適用外となると税額が一気に高くなります。
不動産取得税のまとめ
不動産を取得した時の税金をみてきました。適用要件や額(計算方法)はなかなか複雑ですし、購入や新築した時に一回きりで支払う税金ですので見逃しやすいものかもしれません。
しかし税金の減税措置を受けるのとそうでないのでは大きく税額が変わってきます。しっかり確認して購入したいですね。
尚、自治体によっても一部意見が異なる場合もあるようです。正確なところを確認される場合は、管轄の都道府県事務所までお問い合わせください。
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