不動産は価格の種類も計算手法も多種多様

不動産価格は7つもある?

不動産は大きな金銭が動く取引、その物件価格に納得して購入したいものです。また、よく分からないけど役所に言われるがまま固定資産税をお支払いになり、なんとなくモヤモヤされている方もいらっしゃるでしょう。

分かるようで分からない不動産価格。ここでは少しでも疑問が解消されるよう、一つ一つ丁寧にご説明しています。まずは全体像をつかみ、不動産価格との距離を縮めましょう。

不動産価格7つ_700実は、(分け方にもよりますが)同じ不動産に対してたくさんの価格があるのです。上の表の通り、「公示地価」「基準地価」「相続税路線価」「固定資産税評価額(土地家屋)」「積算価格」「販売価格(取引価格事例法収益還元法など)」「取引価格」の7つです。

特に、公示地価・相続税路線価・固定資産税評価額・取引価格の4つを「一物四価」と呼ぶこともあります。不動産には複数の価格があることが当たり前の世界なのです。

不動産価格を計算する手法は4つ

では不動産の価格はどのように決まるのでしょうか。不動産価格を計算する手法としては、大まかには以下の4つです。

  1. 原価法:実際に購入した金額から価値を算出する「取得価額方式」と、再度同じ不動産を作り直す時にかかるコストから価値を算出する「再建築価格方式」
  2. 取引事例比較法:条件が類似した取引価格から、その不動産の価格を類推する方法
  3. 収益還元法:その不動産が将来に生むであろう収益から価格を算出する方法
  4. 開発法:大きな土地に建物を建てる時の販売価格から建築費や土地の造成費などを引いて価格を算出する方法

基本的にはこれらの内、適するものを選んで、または複数の手法を組み合わせて、不動産(土地と建物、またはその一方)の価格を算出します。実際の取引価格を考えるのか税金のためなのかなど目的によって補正されますが、その根底にはこの手法が用いられています。

不動産価格・金_sどの手法が優れているということはなく、また、それは目的に応じて使い分けるべきものです。さらには、理論的には正しくとも実際の取引価格にすべて反映されるものでもなく、売主や買主の事情によって価格は左右されます。

ここでは、なぜたくさんの価格があるのか、そして実際に売主が値決めする際にどのように計算するのかを理解します。しっかりと価格の成り立ちを理解し、あなたの不動産鑑定眼を養いましょう。

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