いくらで貸せて売れるかだけでなく、購入価格に対して利益がでるのかが大事

資産価値の高いマイホームとは、適切な賃料・価格で貸せたり売ったりできる家のことです。

ここで、どの程度の家賃で貸せるのか、どのくらいの価格で売れるのかという「絶対額」も大事ではありますが、購入額に対して意味のある価格で貸せて売れるのか、という「相対額」がもっと大切です。

つまり、「5,000万円で売ることができた」という絶対額だけでは本当によかったのかどうか判断できません。

4,500万円で買った物件であれば+500万円の利益が出ますし、7,000万円で買った物件であれば▲2,000万円の損失が発生していることになります。

また、15万円/月の家賃で住宅を貸し出せたとしても、それが住宅ローン返済額を上回るのかどうか、もっといえば、その金額で何年貸し続ければ購入価格分のおカネを生み出すか(元が取れるか)という視点も大切です。

マイホーム購入は投資であるとの考えに立てば、どれくらいの金額で貸したり売ったりできるのかということは、仕入れ値(購入額)と比較して検討する必要があります。

資産性を測る指標「マンションPBR」と「マンションPER」(東京カンテイ社)

住宅の購入金額に対して、家賃や売却価格がどれくらいであるかを示す指標として、毎年東京カンテイ社が発表している「マンションPBR」「マンションPER」という指標があります。

PBR(株価純資産倍率:Price Book-value Ratio)もPER(株価収益率:Price Earnings Ratio)も株式投資の指標ですが、これをマンションに応用したものなのですね。

マンションPBRとは、中古マンションの売出価格が新築時の価格の何倍になっているかを算出したものです。

マンションPBRは新築より何倍の価格になっているかを意味し、マンションPERは何年で新築価格の賃料を回収できるかを意味します。

資産価値が高いマイホームとしては、PBR(倍率)が高く、PER(年数)が小さいマンションですね。

PBRが1倍超なら新築時より値上がり。PERが20年なら、20年貸せば新築価格を回収

これが「1倍」を超えていれば、新築で購入した時よりも値上がりしていることを意味します。逆に、1倍を下回っていれば値下がりしていることを意味します。

また、マンションPERとは新築マンション価格が、同じ駅の周辺にある分譲マンションの賃料の何年分に相当するかを示しています。

この値が例えば「20年」であれば、他人に20年間貸し続ければ購入した新築マンション価格分の賃料が手に入るということです。

つまり、値が小さければ小さい程、購入価格に対して家賃を多く取れ、収益性の高いマンションといえます。

実際には住むためにマイホームを買うのであって、新築価格分を回収するためではありませんが、引っ越し時などに他人に貸す際の収益性の目安として利用する指標です。

【PBR】好立地のマンションは中古価格が落ちづらく、資産性が高い傾向にある

東京カンテイ社が発表した「マンションPBRランキング2016」によると、最もマンションPBRが高いのは東京メトロ南北線の「六本木一丁目」駅で「1.56倍」となっています。

2006~2015年に新築分譲されたマンションの平均価格(70㎡換算)「1億155万円」に対して、中古で売り出されている価格の平均は「1億5,885万円」と1.56倍に価格が上昇しているのです。

PBRの定義から、中古価格が高い、または新築価格が安い場合に高くなる傾向にあります。六本木は新築価格が高いものの、中古価格が落ちづらく、むしろ新築価格を上回る結果となっているのです。

その他の上位駅について含めて考えると、①JR山手線の内側・沿線周辺エリア、②横浜心中心部、③東京湾岸エリアのPBRが高い(資産性が高い)としています(東京カンテイ)。

高い居住ニーズに加えて、六本木などは海外富裕層や投資家からの資金も流れ込んでいるとも分析しています。

郊外エリアは安くても損に。ただし好立地でもプレミアムが乗ったマンションはダメ

一方で、PBRが低い(資産性の低い)駅としては、京成本線の「ユーカリが丘」駅で「0.59倍」となっています。

新築時に平均3,230万円で購入したマンションが、1,925万円で売り出されており、約▲40%もの資産が失われているということです。

基本的に、乗車時間が長く乗り換えが多いなど都心へのアクセスが悪い郊外エリアでは、PBRは低く資産性が悪い結果になっています。新築マンションの値下がりに歯止めがかからない状況に陥っているということです。

もちろん、分譲価格は3,000万円以下など安く手に入れることができるのですが、中古マンションとして売却する際には一気に価格が下落する可能性が高く、“安物買いの銭失い”となる恐れがあることを意味します。

その反面、京王線「上北沢」駅や(過去には東京メトロ銀座線「赤坂見附」駅など)、アクセス性が良く立地が悪くない駅が低いPBRを示すことがあります。

これは、新築分譲時にプレミアムを載せてあまりにも高い価格で売り出されたため、中古として売り出した時にそのプレミアム感がなくなり、価格が一気に落ち込んだものです。

【PER】底値の時期に新築購入すると収益性が高い。賃貸市場の上昇でなお良し

2009年から首都圏平均PERの推移をみると、以下のようになっています。

2011年のPERを計算すると、23.75と最も低く(収益性が良く)なっている一方、近年はPERが上昇傾向で2016年では28.66となっています。

2008年のリーマンショック後からマンション市況は冷え込み、2011年ころまでは大震災の影響などでマンション市況も冷え込み、新築分譲マンションも安く手に入れやすかった時期です。

新築マンションPER(収益性)の推移 【出展】東京カンテイ公表データを基にミトミ作成

つまり、2011年に購入した分譲マンションであれば、(その当時の賃料で)約24年間貸し出せられれば、購入価格分の家賃収入が得られるという結果になっています。一方で、2016年に買ったマンションは+5年間の29年間貸し出す必要があります。

(当たり前ですが)マンションが割安な時期(タイミング)で買うことができれば収益性が高くなります。さらに分譲マンションの賃貸市場が盛り上がれば、さらにPERは改善します。

購入価格は変えることはできません。住宅を買う場合には、住宅市況をにらみながら今は割安か割高かの検討が資産価値に大きな影響を与えることを示唆していますね。

分譲価格が急騰した時期のマンションはPERが悪化。家賃による回収スピードは遅い

同じ時期の新築分譲価格と、そのマンションを貸し出した時の平均賃料をみるとその原因がより詳しく分かります。

2008年~2013年の時期は分譲価格が同程度(横ばい)であるにもかかわらず、分譲マンションを貸し出した時の賃料が上昇傾向にあり、収益性がよくなっています。

新築マンション価格と賃料(分譲)の推移 【出展】東京カンテイ公表データを基にミトミ作成

つまり、新築価格が底値で推移していた時にマンションを安く手に入れることができ、かつ、貸し出した時に家賃が高く取れるため、この時期の新築物件はお得になっているのです。

一方、2016年には首都圏新築分譲マンションの平均価格が5,998万円(70㎡換算)にまで高騰しており、同じ賃料で貸し出しても過去のマンションに比べて収益が悪化しています。

新築マンションが賃料見合いで割高になり過ぎており、賃貸に出したとしてもその回収スピードが遅くなることを意味します。新築マンションは市況をみながら底値で買えるかどうかが、資産性の大きなポイントになりますね。

アクセス性に優れ、分譲価格が程よい物件は、都心でなくても高収益(低PER)

PERは、新築分譲価格に対して賃料を高くとれる物件です。購入時期(タイミング)以外の視点で考えると、収益性が高い(PERが低い)物件は“便利なところ”にあるマンションです。

例えば、2016年のPERランキングでは、JR「八王子駅」や「立川駅」がランクインしています。

八王子駅はJR中央線や、横浜戦や八高線など6路線と乗り換え可能であり、立川駅はJR中央本線・青梅線・南武線の3路線が乗り入れるなどアクセス良好な駅です。1日平均乗車人員も、それぞれ8.5万人・16.5万人(2016年)と利用客も多い駅です。

このように、都心ではなくとも都心へのアクセス性(交通の便)がよい駅は、賃料が高く取れ、かつ、都心ほど分譲価格も高くないため収益性に優れることになります。

むしろ、都心の超好立地にあるマンションの中には(億ションなど)新築分譲価格が高騰し、それに見合った賃料がとれない場合があり、収益性としては劣る場合があります。

逆もまた同じことがいえ、いくら郊外マンションで分譲価格が安いといっても、立地の悪さから家賃が低くなりすぎ、収益が悪化するマンションもあるということです。

駅距離が近く、建物所在階数が高い物件はPERが低い傾向。ただしバランスが大事

さらに、一般的に同じ駅でも駅からの距離が近いマンションや、所在階が高い物件は賃料が多く取れPERが低い(収益性が高い)傾向になります。

ただし、あまりにも駅から近く、賃料は高く設定できるものの、分譲価格がそれ以上に高騰した場合には収益性が悪くなります。階数に関しても同じことです。

不動産は一つ一つ状況が異なり、大まかな傾向は掴むことができるものの、実際の購入では個別具体的に検討することが必要になります。

駅の利便性、駅距離、階数など賃料に与えるインパクトと、分譲価格とのバランスをみながら収益性を考えましょう。

【注意】マンションPBRはあくまで参考値。供給物件や時期によって大きく変化

資産性(新築価格に対する中古価格の割合)を示すマンションPBRは、その傾向を探る程度の参考値としてみることをおすすめします。

というのも、これらの計算方法から分かる通り、同じ駅圏内にある「過去10年のマンションの新築価格」と、「そのマンションが売り出された中古の売出価格」の割合を計算しているためです。

まず、同じ駅圏内の新築分譲マンションといっても、数が少なく(ある年に1棟も供給されないこともあります)、例えばある年に超高級物件が新築分譲されれば、分譲価格の平均値を一気に引き上げるなど、供給されたマンションの特性が大きく反映されてしまいます。

例えば、不動産ミニバブル期である2006~2008年に多くのマンションが供給された駅周辺では割高な物件が多く、それらが売りに出されればPBRは下がってしまいます。

逆に、マンション市況が冷え込み、割安で優良な物件を手に入れることができた2010~2013年に多くのマンションが供給された駅はPBRが改善します。

必ずしも「この駅のマンションを買っておけば資産性は間違いない」などの判断に単純に使うことはできず、ある時期にマンション供給が多かった・少なかったというタイミングの問題が、PBRに大きな影響を及ぼしてしまう可能性があります。

上位にランキングされた駅が翌年に圏外にいくことも。購入時には個別の検討を

さらに、2016年のマンションPBRランキングでは、2006年~2015年の間に新築分譲されたマンションの平均値をとっています。同じく、2015年のランキングは、2005年~2014年です。

そうなると、2016年のランキングには、2005年の分譲データが含まれずに計算されますが、2015年ランキングには含まれます。

その駅が2005年にとても割安なマンションを、2006年には割高な物件を供給していた場合、2015年のランキングでは上位に食い込むかもしれませんが、翌年の2016年ランキングでは割高なマンションの影響が大きく、順位を大きく落とすかもしれません。

事実、このマンションPBRは昨年は上位に位置していた駅が、翌年には圏外に押し出されている、という結果も珍しくありません。

駅ごとにきめ細かく算出しているランキングである一方、新築マンションは大規模プロジェクトであり統計学上、必要な数が建築されません。PBRだけをみてしまうと、一つのマンションの特性がその駅のエリア特性を歪ませてみせてしまう場合があるのです。

10年間という単位で区切っているため、11年前に分譲された中古マンションは引き続き高値で取引されていても、結果には現れません。つまり、11年単位で区切ればPBRが高い駅も、10年で区切れば圏外になるという場合もあるのです。

価格の妥当性や、想定賃料は無料アプリ「SelFin(セルフィン)」でチェック!

マンションPBRやPERは、マイホームを売ったり貸したりした時に、買った額に対して割高か割安かを示すものです。

これは、第三者に貸し出す時の家賃を基に考えて、物件価格が妥当であるかどうかを判定する「SelFin(セルフィン)」でもチェックできます。

東京カンテイ社の意味するPBRやPERとは完全に考え方を同じにするものではありませんが、SelFinは一つ一つの住宅ごとにAI(人工知能)がさまざまな指標に基づいて割高か割安かを判定します。

本格的な検討に入る場合には、必ず不動産のプロの目で確認していただきたいのですが、まずは簡易チェックとしてぜひご利用ください!

PBRやPERという指標を盲目的に信じない。個別具体的に検討し、賢い買い方を!

結局、マンションPBRもPERも、資産性・収益性が高かったかどうかを後から振り返ってわかる結果論というところがあります。

「マンションPBRが高いからこの駅のマンションは買いだ!」というものではありません。

コストを積み上げて分譲価格を決める新築マンションは、その時の土地の仕入れ値や建築費の高騰具合などマンション市況をしっかり分析・検討することが大切です。

また、モデルルームで“夢の空間”を演出するなど、過剰なプレミアム感を載せて買わされていないかにも気を付けなければいけません。

マンションの価格が高騰する時には、部屋(㎡数)を小さくしたり、設備グレードを下げてコスト削減するケースもあります。冷静に判断しましょう。

中古住宅もそうですが、新築マンションも「いつ買うか」というそのタイミングが資産価値に大きな影響を与えます。実際に購入を検討される場合には、一つ一つのマイホームを不動産エージェントと一緒に検証しましょう!

 

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