大規模ビルの評価方法を簡素化する検討が開始。骨子発表は2017年2月?

2016年4月、東京都主税局が不動産鑑定士や建築、法律などの専門家6人の委員で構成される「固定資産評価に関する検討会(座長:小松幸夫早稲田大学建築学科教授)」を新設、大規模な建物に限って固定資産税の評価方法を見直す検討を始めています。

discussion_conference_meeting_s関係者の話によると、当初のスケジュールより若干遅れ来年2月ころには報告書の骨子案が出される見通しです。

そもそも現在の評価方法は、1963年に制定された評価法を、経済や社会の状況が異なるにもかかわらず50年超にわたり使っており、計算が大変になっている大規模なビルの評価法を見直そうとしているのです。

東京都で延床面積10万㎡を超える大規模・複合施設の建設が加速

特に東京都では、延べ床面積数十万㎡、地上数十階建という大規模建物の建築が加速しています。実際、床面積が10万㎡を超える大規模建築は、この10年で約60棟建築、今後5年でも約40棟の計画がありますが、そのほとんどは東京都心部・臨海部です。

背景には、国際競争力強化や都市機能の更新などを目的とし、東京都全域が指定されている「国家戦略特区」をはじめ、「アジアヘッドクォーター地区」、「都市再生緊急整備地域」、「特定都市再生緊急整備地域」に東京都心・臨海地域などが指定されていることがあります。

07387f13095bfa0195ff0de719d09f01この地域では、容積率や用途の規制緩和、税制優遇、財政・金融支援が用意されており、今後東京都ではますます外国企業の日本進出、建築物の大規模化・用途複合化は拡大していくでしょう。

一方で、近年の超高層ビルは数万点におよぶ建築資材が使われていることに加え、同じ建物でも店舗や映画館、劇場など用途が分かれる複合施設も増え、固定資産税評価額の計算や判断が難しいケースが増えているのです。

固定資産評価額の計算はとても複雑。年単位の時間がかかることも

現行の固定資産評価法は、「同じ建物を建てたらいくらコストがかかるか」という建築コストを積み上げる「再建築価格方式」を採用しています。この評価額に、新築時からの経過年数に応じた補正などを行って最終的な固定資産評価額を算出します。

評価にあたっては、まず見積書などから使用する資材や数量を把握し、竣工図などから設備の位置や数、設置範囲を確認します。それら資材を一点ごとに約500項目の分類に当てはめ、あらかじめ決められた点数(価格)を積み上げていき、再建築コストを算出していく極めて複雑な判断を伴います。

tired_woman1_sそのため、従来の方法では税額の算定に年単位の時間がかかっており、建築の完成から評価の確定には最長2年程度かかる例もあるほどです。

これを簡素で透明な評価方法に切り替えることで、民間の都市開発を後押しする狙いもあり、今回の検討会の設置に至ったのです。

日本の評価法は世界的にも複雑。投資を阻害する一因に

日本の固定資産評価は世界的にみても複雑で、投資の妨げになっているとの指摘があります。

民間ディベロッパーや投資家が、あらかじめ固定遺産税などの税務コストを正確に計算することが困難で、その不透明さはそのままリスクとなり、投資を躊躇してしまう原因となるのです。

%e6%9b%b8%e9%a1%9e%e9%80%9a%e7%9f%a5%e3%82%92%e8%aa%ad%e3%82%80%e7%94%b7%e6%80%a7_s今回の検討会の中で、民間ディベロッパー4社(東急不動産、三菱地所、森トラスト、森ビル)からもヒアリングを実施、「非常に公平公正で納得感ある評価方法」という一定の理解が示された一方で「評価法が複雑であり、評価額の試算や検証が容易にできない」との課題も指摘されました。

固定資産税だけでなく取得税や相続税、土地・建物価格の割合など影響多数

日本では、家屋の固定資産税評価額は、固定資産税のみ使われるのではなく、都市計画税不動産取得税登録免許税、相続・贈与税など幅広い税金に影響します。

さらにいえば、マイホーム(実需)や投資に関わらず、不動産総額を土地価格と建物価格に分離する際に、土地と建物の固定資産評価額の割合で按分することも実務の現場では少なくありません。

税金計算_s投資の場合には、建物の価格によって今後キャッシュアウトのない経費である減価償却費も大きく変わるため、固定資産評価額はとても重要な指標の一つとなっています(評価価額で按分することに賛否はありますが、他に客観的な指標がないことも多いのです)。

新築物件を購入する時には、土地の実勢価格と建築費用などで大まかに分けることもあり、これがあらかじめ明確に分からないと売買がスムースに成立しないこともあります。

投資のために評価法を修正するわけではないが、簡素な方法が望ましい

今回の見直しは、投資促進というより税務職員の業務量が限界に達しつつあることへの懸念から、簡素な方法がないかを模索するという側面が強いものです。また、大規模ビルに限っているため、一般の不動産売買に直ちに影響はありません。

ただ、固定資産評価が遅々として出なかったり、事前に民間事業者や個人投資家がある程度精度の高い固定資産税などを把握できない現在の制度では、投資が抑制されることもまた事実です。特に大規模ビルの場合は税額も多額となり、よりわかりやすい評価法が望まれます。

%e6%82%a9%e3%82%80%e3%83%bb%e6%a4%9c%e8%a8%8e%e3%83%bb%e8%80%83%e3%81%88%e3%82%8b_s評価法の改善にはたくさんの論点があり、安易に変えることができるものではないことも事実です。しかし簡素化によって、税務職員のコスト削減(税金削減)や投資促進による税収増額となれば、東京都としても財政が潤うためメリットがあります。

みなが納得するような改善案は至難の業だと思われますが、今後の議論に注目しましょう。

 

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