10年物国債が急騰、一時0.1%超に。日銀は指値オペを実施し利回り低下へ

7月6日、0.5%程度で安定推移していた10年物国債利回りが、心理的節目の0.1%を付け、翌7日には一時1.05%と約5カ月ぶりの水準まで上昇(国債価格は下落)しました。

日銀は、長期金利をゼロ%程度に誘導させる目標を掲げており、0.1%という水準は看過できないラインです。

そのため、2月以来、約5カ月ぶりとなる伝家の宝刀「指値オペ」を実施し、「利回り0.11%であれば無制限に国債を買う」と市場に通達したのです。

日銀が利回り0.11%でいくらでも国債を購入するのであれば、それより安い国債価格(例えば利回り0.12%)では誰も売ろうとしません。事実上、どんなに利回りがあがっても0.11%までと決められたのです。

つまり、日銀は0.11%より利回りが上がることを許さないという強い姿勢を示した格好で、すぐに市場はその意図を汲み、結局「0.85%」にまで急落(価格は上昇)しました。

通常オペ(増額)と指値オペ(利回り固定)を同時に実施。0.11%が防衛ラインに

今回の日銀の指し値オペは、通常の公開市場操作(買いオペ:国債をいくら買い入れるかを通達するオファー)と同時に実施しました。

通常のオペも、本来は5年超10年以下の国債買い入れ額を4,500億円と予定していたものを、+500億円の5,000億円と増額することで積極的に国債を買い入れる姿勢を示しました。

この通常オペに加えて、残存期間5年超10年以下の国債を「0.11%の利回りなら無制限に買い入れる」と指し値オペも同時に実施したのです。

つまり日銀は、「今日は国債を予定より500億円も多く買い入れるつもりです。さらに万が一、0.11%の利回りまで上昇(価格が下落)したら、その時点で無制限に買いまくります」と市場参加者に訴えたのです。

市場としては「日銀が利回り0.11%をゼッタイ死守すべき防衛ラインと宣言したのだな」と受け止め、0.11%をつけることなく、0.85%にまで落ち着いたという次第です。

市場に正しいメッセージを伝え、(7,000億円以上使った)2月の悲劇の再来を防いだ

この同時オファー、かつ、「0.11%」という利回り指定は、前回2月の指値オペを強く意識していると考えられます。

前回は、利回り0.11%を突破したものの、通常オペでの買い入れ増額(+400億円:4,100億円⇒4,500億円)のみ通知、市場に対して「日銀は利回り上昇を許容している」というメッセージと捉えられ、その日のうちに一時0.15%にまで急騰しました。

慌てた日銀は、「今、0.15%程度で安く売られている国債を、0.11%の利回り水準の価格(高値)ですべて買い取る」と指値オファーを実施、結局7,200億円超のおカネを使って国債を高く買い戻し、結局0.095%にまで引き戻しました。

今回は、初めから通常オペと指値オペを実施することで市場に間違ったメッセージを届けることなく「0.11%より高い利回りは許容しない」と日銀の意図を正確に伝えられています。

そのため、利回りが0.11%より上昇することなく、そして(前回のように7,200億円超ものおカネを使わず)ゼロ円で日銀の意図する利回りの低下を実現したのです。

欧米の金融引き締めで世界的な長期金利上昇の中、日本は緩和路線を強く示した形

欧米の中央銀行による金融引き締め観測によって、世界的に長期金利は上昇基調にあります。それが日本の国債市場にも波及、長期金利が上昇傾向を生む要因になっています。

具体的には、6月下旬に欧州中央銀行(ECB)総裁が金融緩和の縮小を示唆、ドイツなどの主要国で軒並み金利が上昇しました。

政策金利(FFレート)利上げ後にも長期金利の伸びの鈍かった米国でも、長期金利がじわじわ上昇しています。

6月の米雇用統計において非農業部門雇用者数の伸びが22.2万人(前月比+5万人)と市場予測17.9万人を大きく上回っています。

物価の動向を決める大きな要因である賃金(平均時給)の伸びはいまいちだった(前月比+0.2%、前年比+2.5%)ものの、雇用市場の底堅さが示されたと受け止められており、連邦準備理事会(FRB)が3度目の利上げに踏み切り、保有資産の縮小を決める可能性もあります。

このように世界的に長期金利が上昇する兆しがみえる中、日銀は無理やり力業で長期金利をゼロ%程度に据え置く姿勢を見せており、世界的にも日本の特殊性が浮き彫りになっています。

日銀は「欧米の中央銀行と政策の方向性が違う」ことを意識付け、円安になる

欧米の中央銀行が、金融政策を引き締める方向に動かす中、日銀は長期金利をゼロ%付近に誘導する政策を一貫しています。

このことで、「今後、日米間(や日欧間)で金利差が拡大していくのではないか」との思惑が投資家に生まれ、円を売ってドル(ユーロ)を買う動きが加速しています。

金利の安い日本で資産運用するよりも、日本の安い金利で円を調達して、それを売ってドルを買った方が効率よくおカネを運用できるためですね。

事実、7月8日には、一時約2カ月ぶりにドル円が114円を、約1年5カ月ぶりにユーロ円が130円台を回復するなど円安が進んでいます。

日銀としては、円安誘導によって株価上昇や輸入物価の上昇によって国内の物価上昇率+2%を達成したい思惑があり、この流れを強化していきたいと考えているでしょう。

「日銀が買い支える」安心感から、固定型住宅ローン金利はしばらく急騰しない

7月に入り、(固定型住宅ローン金利の指標ともなっている)10年物国債利回りが1.0%弱で推移しているため、この水準が続けば8月適用の金利は上昇することが予想されます。

しかし、その上げ幅は一定幅に抑えられ、直ちに急騰する状況ではないともいえます。

今回、日銀が「10年物国債利回りが0.11%ラインを超える」ことを拒む姿勢を強く示したため、今後、海外の金利が上昇しても日本国債の利回りはカンタンには上がらないことが予想されるためです。

通常オペの増額に加えて、指値オペをダブル実施したことで、国債市場の参加者に対しては「海外利回りが上昇しても、日本の国債は日銀が買い支えてくれる」という安心感が広まっている状況だからです。

一方で、北朝鮮の大陸間弾道ミサイル(ICBM)の試射など地政学リスクの高まりなどによって今後の動向がどうなるか、長期的には確定的な見通しは立っていません。今後も注視していきましょう。

今は低い固定金利もいつか騰がる。「とりあえず変動で後から固定…」はご法度!

国債買い入れ額を定めて利回りの高い(価格の安い)国債から買い入れる「通常オペ」と異なり、「指値オペ」は利回りを固定して原則として無制限に買い入れる手法であり、それほど強力です(2016年9月の金融政策決定会合で導入した仕組み)。

日銀は、物価上昇率が安定的に2%を達成するまで、現在の金融緩和政策を続けていくという姿勢です。今現在は無理やりにでも長期金利を抑え込むことで、金融市場におカネを流しています。

しかし、どこかでこの目的を達成された場合には、長期金利も上がってくる時が来るでしょう。その場合には、国債市場という“予想”で決まる長期金利(住宅ローンでいえば固定金利)が、“実態”で上がる短期金利(変動金利)より先に上がる傾向があります。

つまり、短期金利(変動金利)は後追い的に上がるため「変動金利が上がってきたら固定に切り替えよう」と思っても、すでにその時には固定金利が上がりきっており、後の祭りとなることが多いものです。

そもそも、金利を予想するものではないといえます。あなたのライフプランに沿って計画的に住宅ローンを組んでくださいね!

 

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