リフォームしても20年後には建物価格はゼロ。適正な価格で売れない…

中古住宅流通の一つのハードルとして、「いくらリフォーム・リノベーションをしても、結局20年経ったら建物評価がゼロとなってメンテナンス費が無駄になる」というものがあります。

これまで、金融機関を中心に築年数のみに依存した評価がなされており、土地の値段だけが評価されることも少なくありません。これでは中古住宅を買おうとしても、思ったように住宅ローンを組めず、中古住宅の流通が阻まれてしまいます。

また、自宅を売りに出そうとしても、不動産仲介会社から「築年数が30年経ってますから建物は値段がつきませんね」などと言われてしまう場合もあるでしょう。

メンテナンス分を訴求して(建物価格を評価した)適正価格で売りに出しても「リフォーム履歴が残っていないから、買い手に値下げを要求されてしまった」というケースもあります。

新築する場合にも、長期優良住宅のような「いいものをメンテナンスしながら長く使う」ことを前提とした施工が求められます。

中古住宅を流通させるためには不動産の周辺業界が一体となった取り組みが必要

このように、中古住宅を本格的に流通させていくためには、適正(良質)な中古住宅と質の悪い中古住宅をしっかり見分ける仕組みが必要です。

この課題には、インスペクション瑕疵保険、住宅性能表示、住宅履歴の蓄積など様々な取り組みがなされています。

その当事者である建築士、宅建業者、検査・履歴業者、金融機関、工務店などがそれぞれの専門分野を生かしながら連携して、不動産業界関係者が一体となって取り組んでいくことが必要です。

その一環として、2016年5月に補助金事業として「住宅ストック維持・向上促進事業」(良質住宅ストック形成のための市場環境整備促進事業)を募集するなど、国も主体的に取り組みを始めています。

不動産先進国のアメリカなどではリフォームや設備取り換えを適切に評価する仕組みが整っており、これらを日本でも普及する動きが出てきたともいえるでしょう。

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メンテナンスした分だけ中古住宅を評価する仕組みが始まる?

「住宅ストック維持・向上促進事業」は既に締め切られた事業ですが、国が今後どのように良質な住宅を増やしていこうと考えているか、その姿勢を知ることは重要です。

この事業の募集において国交省も「良質な住宅ストックが適正に評価されず、維持管理・リフォームを行うインセンティブが働かない悪循環構造にある」ことを認めています。

その上で、「健全な中古住宅・リフォーム市場の発展を図るため、住宅ストックの維持向上・評価・流通・金融等の一体的な仕組みの開発・普及等を支援することにより、良質な住宅ストックが市場において適正に評価される市場環境の整備を図る」ことを目的としています。

例えば、上図の通り市場で適正に評価されない既存住宅にはリフォームのインセンティブが働かないため、今後はリフォームを行った良質な住宅が評価に反映されるシステムを作り上げる必要性を国も認識しています。

これらが実施されることで、中古住宅の適正価格での取引や、住宅メンテナンスの促進、住み替えなど以下の効果が期待できるとしています。

  • 良質な住宅が適正な価格で流通する市場の整備
  • 住宅の維持管理・リフォームの促進
  • 住宅資産の有効活用の促進
  • ライフステージに応じた住み替えの促進

住宅性能を高めるリフォームを実施した建物を積極評価したローン商品が開発?

この事業に採択された39の事業者・団体とともに、官民一体となって中古住宅の流通に向け既に動き出しています。

採択されたのは、資産価値の適正評価や向上に取り組む活動を行っている事業者で、国はそれらの支援を行います。

この事業は2017年2月末までの予定ですが、住宅の性能を高めるリフォーム・リノベーションを実施した顧客に対して、建物の資産価値を積極的に評価に加えたローンを開発することも含まれているようです(リバースモーゲージや買い取り保証付きローンなど)。

これまでは当たり前のように築年数による評価が行われてきた既存住宅の評価。大きく考え方が変わりつつあることが感じ取れます。

 

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