中古住宅への不安と不満。品質が不透明で、20年経てば建物評価ゼロ

中古住宅の取引は、品質への「不安」と、家を大切に使っても新築時から20年程度時間が経てば建物価格がゼロと評価されることへの「不満」が大きなハードルになっています。

品質を見抜けなければ「欠陥住宅を買ってしまうのではないか」という疑心暗鬼から、本当は優良な中古住宅であっても買い手がつかなくなる恐れがあります。

建物の状態がわからなければ、どの建物も年数に応じて査定価格を一律に減少させていくという安易な評価を行うしかありません。これが長らく金融機関で行われてきた評価方法です。

中古住宅を購入しようと思っても、銀行が融資金額を大幅に下げ、自己資金をたくさん持っている買い手しか購入できなくなってしまいます。

そうなれば中古住宅の所有者は、「売却する頃には建物はゼロ円で評価されるんだからリフォームをする意味がない」と、中古住宅を適切にメンテナンスするインセンティブを失う結果になるのです。

国がインスペクター「既存住宅状況調査技術者」の確保に乗り出した

品質への不安には、建物状況調査(インスペクション)を促す改正宅建業法が2016年に成立しました。2018年4月から本格的に施行されます。

大きな枠組みは定まったものの、インスペクションは公正で客観的に検査を行わなければなりません。誰がどのように行うのかという点は極めて重要です。検査する人によって結果にムラがあってもいけません。

建物の調査を行う建築士(インスペクター)をどのように確保するのか、どうやって客観性を担保していくのかが課題となっていました。

そこで2017年2月3日、国交省がインスペクターを確保する制度である「既存住宅状況調査技術者講習制度」を創設しました。

これは、国に登録を行った講習機関(インスペクター養成機関)が、国が指定する水準を満たす講習を実施、試験などをクリアした建築士を「既存住宅状況調査技術者」として認定するものです。

今後、全国規模でこの状況調査技術者を確保する予定です。公正な建物調査が普及し、品質の不安が払しょくされることが期待されます。

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【インスペクション】建築士による建物状況調査をする

更なる不安解消へ向け、既存住宅売買瑕疵保険にスムースに加入できる仕組みを検討

インスペクションを行うだけでは不安の解消が完全になされるわけではありません。検査をしても万が一に備えた保険が「既存住宅売買瑕疵保険」です。検査と補償がセットになっているのです。

保険加入のための検査は、瑕疵保険会社が抱えるインスペクターによって実施されています。

しかしそれでは、建物状況を調べるインスペクションと保険加入のためのインスペクションが二度手間になってしまいます。

国交省によると、今回の制度で国が認定した「状況調査技術者」が実施した検査であれば、あらためて保険法人の検査は不要とする方向ですり合わせているとのことです。

効率的な仕組みを作ることで保険に加入しやすくし、中古住宅の不安を解消させようとしているのですね。

住宅品質に見合った建物評価へ向け「不動産鑑定士」の役割が拡大

建物評価への不満については、数年前から国交省や各種団体が、築年数に応じた一律の評価を改めるよう働きかけています。

リフォームや設備取り換えを行って価値が回復したものを評価に反映することなど、建物の実態に合わせた査定方法に変化させようとしているのです。

ここで重要となるのが不動産鑑定士です。日本では個人が中古住宅を購入する際に、鑑定士が住宅を評価することは一般的ではありません。

しかし今後は、不動産評価のプロである鑑定士が積極的に中古住宅の取引に参加し、メンテナンス状態の良い建物を適切に評価する時代が予想されます。

事実、近畿不動産活性化協議会が中心となって展開している「住宅ファイル制度」では、鑑定士の存在が不可欠です。この制度は、インスペクションやシロアリ検査を実施し、それらを住宅ファイル報告書としてまとめた上で、住宅の適正価格を鑑定士が算出するものです。

鑑定士の受験者が10年前と比べて1/3にまで急減!国交省や業界団体も確保に危機感

2016年10月に国交省が発表した「不動産鑑定評価の現状」などによると、鑑定士試験の申込者数や受験者数は、10年間でおおむね1/3の水準にまで減少しています。

合格者数はこの10年間は年間100人前後で推移していますが、15年前には年間400人弱の水準だったことを考えると、約1/4にまで減少しています。合格者の平均年齢も35歳(2016年度)と10年目と比べて約5歳上昇しています。

危機感を覚えた国交省と日本不動産鑑定士協会連合会は2017年2月22日、不動産鑑定士の魅力を伝え人材確保につなげるセミナーを初めて共同開催しました(2月28日付日本経済新聞夕刊)。

地価調査や金融機関での証券化業務の他に、中古住宅の流通促進に欠かせない役割を担うであろう鑑定士の確保に国も業界団体も焦りを募らせている様子がうかがえます。

いくら住宅の性能が分かったところで、それを適切に評価へ反映する人がいなければ絵に描いた餅になってしまいます。鑑定士の人員増が急務といえる状況なのです。

最大の課題は、消費者(売主・買主)が中古住宅の価値を信じるか

品質への不安と建物評価への不満が解消されたからといって、自動的に中古住宅の流通が拡大するわけではありません。

売主や買主といった一般消費者がインスペクターや鑑定士を信じるか、つまり業界関係者以外にも「中古には価値がある」という見解が浸透するかが、その先にある最大の課題といえます。

いくら査定方法が変わるといっても、必ずしも金融機関などの業界関係者間で足並みがそろっているわけではありません。

「自分の家をメンテナンスして本当に評価が上がるのか?」「インスペクションにおカネをかけるのはもったいない」と思われれば各種制度が機能しなくなるのです。

新築志向からの転換期。業界全体で消費者の信頼確保に努めることが第一歩

だからこそ、中古住宅の評価手法を国が肝いりで正そうとしており、今後の健全な市場形成を作っていこうとしているのです。

国交省は「既存住宅状況調査技術者講習登録規程の解説」において「まずは公正かつ適確な調査の実績を積み上げ、既存住宅状況調査について国民の信頼を得ていく必要がある」と明記、広く社会一般に受け入られることの重要性を強く認識しています。

さらに、国は状況調査技術者を認定する講習機関に対して、インスペクターの情報を公開して買主や売主に向け情報提供を積極的に行うことに加え、消費者からインスペクション相談を受ける窓口を設置する義務を課すなど、安心して利用できる制度設計としています。

中古住宅は建物構造や検査・評価方法など技術的な側面だけで語られるものではありません。最終的には建築士や鑑定士、そして取引の主役である売主・買主という人の問題に行き着きます。

長らく続いてきた新築志向を転換するのは簡単ではないでしょう。その第一歩として、国と業界団体、民間企業が一体となって消費者へ積極的な情報開示を行い、中古不動産取引の透明性を高めていくことが大切だと考えます。

 

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